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「面白そう」の直感で異業種にも挑戦。人が集まる場をデザインしたい

「艶(シック)な大人の焼酎学」キュレーター / 澤本佑子さん

 

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フリーランスのグラフィックデザイナーとして活躍する澤本佑子さん。澤本さんは自由大学の「アメーバワークスタイル」「CREATIVE CAMP in ポートランド」「キュレーション学」を受講し、現在は「艶(シック)な大人の焼酎学」の講義を立ち上げキュレーターになりました。そんな彼女にいま実践している学びやコミュニティーの基礎となる「講義づくり、場づくり」についてお聞きしました。聞き手は、自由大学クリエイティブチームの増田早希子さんです。

澤本佑子さんの詳しいプロフィールはこちら


 

ー  実は澤本さんと私(増田)は、2015年3月の「アメーバワークスタイル」の同期だったんですよね。澤本さんはその時が初めての自由大学だったそうですが、受講のきっかけはどんなことだったんですか?

ちょうどその頃はグラフィックデザインの仕事でフリーになったばかりでした。とはいえ業務委託だったので、いただいた案件を事務所でこなす、という受け身の姿勢で、会社員時代と変わらない働き方に疑問を感じ始めていました。とてもありがたいことで贅沢な悩みだったんですけどね。だいぶ前から一日中コンピューターの前に座っていることが苦痛になってきていて、そんな中思い出したのが、前職で飲食店の立ち上げに携わった時に感じた「場づくり」の楽しさでした。それまでデザインを納品して終わりというプロジェクトの一部分だけに携わることが多く、プロジェクトの全体像が見えていろんな部署の人と連携して一つの目的に向かうことが楽しかったんです。それで、なにかデザイン以外にもできるんじゃないかと考えていたところ、偶然アメーバワークスタイル講義を見つけて「何だか面白そう! 」と申し込んだのがきっかけです。

 

ー  面白かったですよね。私もあれから自由大学で働くことになったんですが、澤本さんもあれから変化がありましたか?

受講がきっかけで「CREATIVE CAMP in ポートランド」に参加しました。印象的だったのが、もともとデザイナーだった人がチョコレートを作っていたり飲食の仕事をしたり、異業種から自分の好きなことにキャリアチェンジしていたことでした。彼らが生き生きと働いているのを見て「本当は何がしたいのか」真剣に向き合うようになりました。なかなか踏み出せずにいた一歩を踏み出した先の世界を見せつけられたんです。それを機に、「いいな」と思ったら行動に移すようになり、実際にやってみると楽しくて行動することが怖くなくなりました。その頃から主体的な考え方にシフトチェンジしていき、「キュレーション学」を受講しました。

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自分から行動を起こすようになってからは、周りの環境も大きく変わっていったという

 

ー  ポートランドに行く前は、デザインの仕事一本だったのが、今ではデザインの仕事、キュレーター、みどり荘永田町のコミュニティーマネージャーをやっていますよね。自分のできることを一つに限定せずにやれていて、まさしくアメーバワークスタイルですね!

もともとブランディングやワークショップの企画、運営をしている会社にいて、デザイン以外にもいろんな経験をさせてもらいました。デザインができるからデザインしかしないという選択もあるけれど、仕事や物事にはデザインの要素が多くあると思うんです。例えば構想を練ったり、イベントをどんなコンセプトにするかを考えるのもデザインなので、これまでの経験が全て活きているのかなと思います。たまに「本職は何ですか」と聞かれるんですが、やっている仕事がどれも本職だし、特に分けなくても良いんじゃないかと思うんです。一つのことをずっと突き詰めたいタイプの人もいるし、そうじゃない人もいる、それでいいと思う。私もまだまだやりたいことを模索中なので、もっと違う方向に行くかもしれない。直感を大切に、ワクワクすることを軸に選んできて、おかげさまで運にも恵まれ、気づいたら行くべき方向にいて、ここからまた向かっていくのかなと思います。

 

ー  「どれも本業」というスタイルもあっていいですよね。焼酎学を始めることになった経緯を教えてください。

実はキュレーション学を受ける前に焼酎学の教授である仮谷陽(かりたに よう)さんには出会っていて、「陽さんと何か一緒にやりたいな」という思いが先行してあったんです。陽さんのお店に行く前は「焼酎? おじさんの飲み物だし、悪酔いするし、臭くて飲めないわー」と思っていたのですが、実際に飲んでみると香りも良くたくさん飲んでも翌日に響かないし、イメージと全く別だったんです。陽さんはとても気さくで話しやすく、以前は外資系の営業やPRをしていたと聞き、異業種からのキャリアチェンジをしていて面白い方だなと思いました。それで何度か通っていくうちに仲良くなり、いろんな焼酎や飲み方を教えていただき「もっと知りたい」と思うようになったんです。陽さんのお店に来るお客さんは年配の方が多いので、「若い人や焼酎の魅力を知らない人にも教えてあげたいな」と思ったことと、自分も知りたいから作っちゃえ!ということで始めました。

 

ー  自分の興味からスタートする考え方は自由大学らしくていいですね。第1期の講義は2016年の9月でしたがどうでしたか? お酒の講義はビールも日本酒もコミュニティーができやすい感じがありますが、焼酎学も楽しそうでしたね。

とても個性的で面白いメンバーが集まりました。1回目の講義後から数人残ってcommuneの中で飲んだり、授業外でも飲みに行く機会が多く、コミュニケーションはさすがお酒、円滑にいきました。Facebookのグループページに「こんなの飲んでみました」と投稿してくれたものに対して皆でコメントしたり、みんな自分で知識を深めようと行動していましたね。あとはcommuneのライブイベントの時に焼酎学でステージ横にポップアップバーを出したので、そこでみんなぐっと仲良くなれて楽しかったです。

 

ー  澤本さん自身は第1期をやってみて学びになったことはありますか?

講義をつくる大変さがとてもわかりました。産みの苦しみ、講義化するための編集、実際に講義を運営する難しさ、終わってからも次にどう繋げるか、そこがキュレーターの学びのポイントだと思います。キュレーターになったことで多角的に考えたり、目を向ける方向が変わってきました。場づくりって実際どんな人が来るのか始まってみないと分からないけれど、2回3回と講義を重ねるうちに個々を知っていく過程が楽しく、最終的に受講して良かったと言ってもらえて嬉しかったです。全部こちらの主催者側がやってしまうのではなく、自発的にみんながやりたいと思える丁度いいさじ加減が大切ですね。

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場をつくることで集まった人に笑顔が生まれたり、新たなことを知ってもらえるきっかけづくりができることが嬉しいと語る澤本さん。


ー  1期を通して知識だけだったところに体験が加わって、自分の経験になったんですね。「どうやったら学んだ人が自由になれるか」という視点で講義の構成を考えているので、ついつい一方的に教えそうになるところを、どうやってフラットにしていくかが重要ですね。「場をつくりたい」という話がありましたが、まさにそれを自由大学でやれている感じですか?

そうですね、みどり荘での活動にも通じるのですが、私自身とても好奇心旺盛で知ることが好きなので、場をつくったことでみんなが喜んでくれるのが嬉しくて、「来て良かった」という言葉を聞けた時にはやってて良かったなと思います。焼酎にとどまらず、面白そうだなと思ったことにはこれからも挑戦していきたいですね。

 

ー  自由大学は「何からでも学べる」という考え方なので、ピンと来たものから学びをつくる澤本さんにはどんどんチャレンジしていってほしいです。具体的にこれから挑戦したいことはありますか?

古着やアンティークが好きなので、リメイクしたり、デザイン×何かという視点で、いろいろ試してみたいです。嬉しいことに、私の周りには美味しいお料理を作れる方が多いのと、食べることが大好きなので、例えばデザイン×食とかもありだなって企んでいます。あとは、最近だと着物にも興味があり、ファンキーに着こなしたり着物をもっと日常に落とし込みができないかなって思っています。

 

ー  最後に焼酎学2期がこの春4/8からスタートですが、どんな構成ですか?

構成は1期と同じで、時期によって合う焼酎が変わってくるので、今期に合わせて陽さんが飲み比べするものを考えてくれています。それから前回は小正醸造さんという酒造の方が来てくれたのですが、2期はコセド酒店さんという酒屋さんが来てくれるので、また違った視点でお話が聞けて面白いと思いますよ。

 

✳︎

 

自らの直感を信じてどんどんチャレンジを続ける澤本さんからは、ポートランドの人々のように好きなことにまっすぐに自分らしく楽しむ姿を感じました。今後のますますの活躍が楽しみです!

 

文・写真:Fumi 
編集:ORDINARY 

                

 



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