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暗黙知をナレッジ化!自社独自の教育システムをつくるためのビジネス書を初出版

FLY_ 82|加藤じゅういちさん/人材育成家


属人化しがちな営業ノウハウを言語化するための画期的な本を初出版した加藤じゅういちさん。「TOP営業だけに頼っていた状態を抜け出せる」と注目の新刊『TOP営業を育てる自社オリジナル教科書の作り方』が発売され、永田町キャンパスに来校されました。加藤さんは自由大学「
自分の本をつくる方法」に通われました。卒業後、順調に目標を叶え自分の本を出版した加藤さんと同講義の教授・深井次郎さんとの対談です。


<プロフィール>

加藤じゅういち
人材育成家 / 株式会社Loophole japan 代表取締役
平塚市生まれ。武蔵野美術大学デザイン学科を卒業後、リクルートに入社。求人広告の制作ディレクターをする中で、売れる営業と売れない営業両方を見て、「誰でもできる動作」を抽出することの重要性に気付く。その後さまざまな部署に従事した後、21年半の在籍の最後の部署としてホットペッパー事業の人事課に異動し、営業の「育成パック」を開発。必ず業績に繋げる結果を出す手法を編み出す。その後BMWファイナンスに転職し、同じ手法で、属人的なノウハウの言語化と人材育成を展開して、独立。個人向け投資用マンション、人材派遣の法人営業、種苗メーカーから段ボール工場の営業まで、各社の教科書作りを支援し営業人材の育成と売上UPに寄与している。
https://twitter.com/jyu_28
https://loophole.co.jp/
https://www.youtube.com/@jyuichi_loopholejapan

 

永田町キャンパスで対談

深井:まずは、初出版おめでとうございます! 新刊『TOP営業を育てる自社オリジナル教科書の作り方』について簡単に紹介をお願いします。

加藤:世の中に「営業ノウハウ本」はたくさんあります。さらには、研修会社の「営業研修」や、元キーエンス出身ですといった「営業コンサルタント」さんもたくさんいらっしゃいます。それでも、相変わらず営業組織の営業力強化で困っている会社はあとをたたない。それはなぜなんだろう、という疑問がずっとあり、現場で試行錯誤してきました。

本書は「こうすれば売れますよ」という本ではなく「こうやって売れる人を育てましょう」という、人材育成も兼ねた本です。

リクルートでの実績を経て、その後のリクルート以外でも展開できることを証明しました。さらに多業種、多業界の営業組織での展開で積み重ねた事例からノウハウを棚卸して、今作はその全てを書き出したものになります。大手企業だけにとどまらず、日本全国の中小企業の営業力アップと人材育成にお役立ちできたら嬉しいです。

深井:ぼくも新人時代に営業職の経験がありますが、営業力は「一生モノのスキル」。身につければどの会社でも必要とされると言われています。しかし確かにそれは本当だとうなづける一方で、いくらトップ営業だった人でも、転職して商材や客層が変わった途端に売れなくなるケースも多く見てきました。どうやら「相性」がありそうだと感じています。

「オリジナルの教科書」とは、例えるなら、オーダーメイドの服みたいなことですよね。フリーサイズの服は全員がなんとなく着られはするんだけど、誰にもジャストフィットはしないもの。

営業研修ってどの会社も似たような研修をやっていますが、できるなら自社独自にオーダーメイドした育成方法が一番効果を上げるはずです。やはりどの会社も自社オリジナルの教科書をつくるのがベストなのでしょうね。

「各社にオリジナルの教科書が必要だ」とひらめいたきっかけは?

加藤:リクルート在籍時の、ホットペッパー事業にいたときです。毎年4月に新卒入社する新人に加え、3カ月に1回、中途で契約社員としてくる営業配属のみんなを一人前に育てるのですが、最初は、リクルートのグループ会社が提供する、いわゆる「営業研修パッケージ」を導入していたんです。

しかし、これが見事にはまらない。はまらない理由は3つ。

①なにしろホットペッパーのクーポン広告の営業に必要なポイントが抑えられていない。
②覚えなくてもよいスキル名を教えられる。
③日々の現場で、先輩や上司が、研修の枠組みを活かせない。

なので、日々の営業所の現場では使われないのが現状でした。これなら「ホットペッパーの営業専用」の研修パッケージをつくったほうがいいのでは。つくるのに時間は必要だが、効果は絶対にあるはず! そう思って、プロジェクトを上申して承認を得て取り組みました。

深井:教科書ですから、再現性が肝ですよね。教科書化のプロセスは具体的にどのようにやっていますか? 売れる営業がなぜ売れるのかを分析するのだと思いますが、そう簡単に要因がわかるのでしょうか?

加藤:まさに、その具体的なプロセスを本にまとめました。要因解明で最も重要なのは、「売れてる人」だけではなく、「売れていない人」も研究・分析するということです。片方だけで済ますケースが多いですが、両方から話を聞かないとわかりません。

営業職それぞれのやり方が違うということは、飲食店にたとえるなら、作り手によってレシピが違うということ。レシピの違いにより味のよしあしが生じているため、それぞれに「どのように料理を作っているか?」を聞き、これから学ぶ人には、料理のどこでつまづくのか?例えば材料の表記の「一口大」という言葉でつまづいている、などをおさえたり、よくある間違いを把握していく。一方、上手な人が使っている隠し味などまで明らかにする必要があるんですね。

深井:今回は、初出版。出版したいと思ったのは、いつごろでしたか?

加藤:夢見がちな20代の頃、若気のいたりと言いますか「将来は社長になる」「いつか出版して老後は印税でウホウホする」と言っていました。ある種、どちらも実現していることになるのかな。ただ、印税生活するにはベストセラーを何冊も出さないと成立しないことを、今は知っています。

深井:あはは、若い時は憧れますよね。

加藤:20代からあっという間に40代になり、具体的に実現しようと動きます。自由大学で深井さんの「自分の本をつくる方法」に通い、同期の生徒と一緒に学びました。商業出版するには、まず「企画書」が最初の肝になる。本のテーマはもちろん、読者ターゲットを決めること、自分の立ち位置や、類書の研究など、企画段階でまず必要になることを学びました。

自分もそうでしたが、ついつい最初は「自伝」になってしまいがち。しかし、知らない人の自伝なんて読まれるわけがありません。そこを痛感してから、企画の深掘りが始まりましたね。

 

発売日に、丸善丸の内本店に足を運ぶと…

平積みしていただいてました

 

深井:今日、はじめて自分の本が全国の書店で平積みになっている景色を見て、いかがでしたか? 

加藤:かなり言葉にしづらい、妙な感情でした。見たいけど、怖い。見てしまったけど、やはり怖い、というか、本来はメチャ嬉しいはずなんです。評価されることを恐れているわけではないけど、無視されるのを怖がっているのかもしれません。1冊も売れずに返品されたらどうしよう、と。

でも、さっそく、友人・知人・お世話になった大先輩方が、次々に、FacebookをはじめとしたSNSで「読みました」「勉強になる」「さっそく活かしてみる」といった声をあげてもらっているのを見て。あらためて「一人じゃないんだ…」とじんわり感動してます。

深井:出版に至るまでで、一番の壁はなんでしたか?

加藤:ずばり「一人では何も進まない!」です。クライアントとの仕事は常に、〆切と、期待やご要望やオーダーがあります。ですので、どんどんことを進めますし、進みます。しかし、いざ自分のこと、例えばホームページ作りや、出版の準備となると、〆切もマネジメントしてくれる人もいないので、セルフマネジメントするしかない。しかも、客観的なレビューもない。ゆえに、後回しになりがちです。その点、講義の課題や同じ目標を目指す仲間がいると、具体的に進みやすいですね。

深井:〆切と仲間、重要ですね。執筆にあたり、工夫した点は?

加藤:工夫というよりも、一番大事にしたのは「読者視点」です。これはホットペッパー事業にいたときに、クーポンのコマ広告を作る際の、事業部全体での大切なキーワードでした。

読者の視点でものごとを考える。つまり、書き手、作り手の視点ではなく、買う側、読む側、受け取る側の視点にたって企画・編集せよ!ということ。そのために、想定読者にあたる人たちから原稿に直接フィードバックをもらい、情報を補足したりしました。

深井さんも発売日の書店まわりに同行しました

深井:仕事以外に、休日は何をしていますか? 趣味など熱中していることはありますか?

加藤:趣味というか、プライベートの活動でも、常にPDCAとナレッジ化ですね(笑)。例えば、料理ひとつとっても、ですが、週の半分は、妻子のお弁当作りを担当してますが、お弁当作りもPDCAをまわし、最初はとても下手だっただし巻き卵も上手になり、娘の好みを把握しながら、夜、フィードバックを受けながら、朝の時間の効率化と、クオリティアップに精進してます。

また、飲食好きが高じて、カウンターBARなどで一日店長イベントもしてます。経験を重ねるごとに何でもよりよくなるはず、と思ってます。

深井:最後に、あなたにとって「自由」とは?

加藤:「2択の連続」だと捉えてます。今、昼ご飯を食べるか、あとにするか。今、食べるとしてコンビニ弁当にするか、自分でパスタを作るか。飲み会に参加するか、しないか。飲み会を主催するか、しないか。会社員を続けるか、辞めるか。子供の面倒を見るか、見ないか。常に2択の連続。それが同時にたくさんやってくるので、一見、複雑に見えますが、実は、超シンプルなんです。

本を出すか、出さないかも2択です。出すと決めたら、どうしたら出せるかを考えたり、行動したりするだけ。人の環境は平等ではないけど、でも、1日24時間と「選択できる」ということはビルゲイツもわたしも平等。みんな自由なのではないでしょうか。

本日はありがとうございました!

 

 <新刊情報>

※新宿、紀伊國屋書店さん本店で、社会・ビジネス書「ランキング2位」



TOP営業を育てる自社オリジナル教科書の作り方加藤じゅういち(日本能率協会マネジメントセンター刊)

今、多くの企業は、人手不足、原価高騰、多様なニーズへの対応という課題を抱えている。そんな状況の中で、特に売り上げを左右し、どうしてもノウハウが属人化してしまう、営業人材の育成が急務である。「営業力を強化しよう」「営業はこうすればいい」という本はたくさんあるが、会社によってビジネスモデルも置かれている状況も違うので(BtoBかBtoCか、ルート営業か新規開拓か、どういう業界・商材か)、そのまま使えないことが多い。そのため、むしろ「自社オリジナル教科書」を作ってしまった方が、あとあと楽である。本書では、その作り方を解説する。とりわけ、外部の研修を導入する予算がない会社の幹部(中小であれば社長や営業部長、ある程度規模が大きくなると営業のマネージャーや人事部など)、また大手企業で研修予算があっても結果が出ていないところにとっては、自社で人材を育成するためのノウハウを蓄積するために必ず役に立つ一冊となる。


SNSでも口コミが広がっている

おまけカット。お分かりいただけただろうか。PRイベントのために制作したオリジナルの書影入りTシャツなのだ。今回の記事制作にあたり撮影協力いただいた丸善丸の内本店さん、ありがとうございました。

紀伊國屋書店さんで、社会・ビジネス書「ランキング2位」など、各書店で好評です



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