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楽しく学ぶ霞ヶ関ガイド本を初出版した霞いちかさん。「謎だらけの官僚の働き方がリアルに面白くわかる」と注目の新刊『霞が関の人になってみた』が2月17日発売され、永田町キャンパスに来校されました。霞さんは自由大学「スケッチジャーナル学」「自分の本をつくる方法」に通われました。実際に自分の本を出版した霞さんと同講義の教授・深井次郎さんとの対談。立場上、顔出しできないため自作の似顔絵で隠して登場です。


<プロフィール>
霞いちか (かすみ いちか)
他業種から30代半ばに転職し2016年から6年間、霞が関で国家公務員として勤務(現在、出向中)。エンタメ、サブカル好きで、中に入って初めてわかった霞が関での面白くて、たまに切ない日常をゆるくつづるブログを2020年にオープン。2023年2月17日初の著作『霞が関の人になってみた 知られざる国家公務員の世界』を通じて、楽しく、国の政策に興味を持つきっかけになればと願う。noteブログ「霞が関の人の日常」 

 


霞さん、出版おめでとうございます! 新刊『霞が関の人になってみた 知られざる国家公務員の世界
』(カンゼン刊)を簡単に紹介していただけますか? 

ありがとうございます! 多くの人が官僚と呼ばれる国家公務員に対して「前例主義で、出世ばかり考えていて、頭はいいけど現場を知らない」というイメージを持っていると感じますが、実際の官僚にあったことがある人は少ないと思います。

この本は、私が実際に霞が関で働いてみて体験したこと&日々感じたことをまとめた、霞ヶ関の人の素顔や働き方や政策の作られ方や国会の仕組みなど楽しく学べる霞が関ガイド本です。具体的には、官僚ってどんな人? 国会期間中は何をする? 政策はどう作られる?といったことを、日常目線で描いています。また、元同僚2人と対談した 「霞が関での勤務経験者が語る、官僚の魅力と課題 」も掲載しています。

 


中の人だからこそ書けるこの臨場感が、他の本にはない魅力ですよね! 最初に自由大学を知ったきっかけは…

もともと登山サークルの仲間が「東京・日帰り登山ライフ」を受けていて、気になって自由大学のサイトを調べたんです。「スケッチジャーナル学」や、深井さんの「自分の本をつくる方法」といった魅力的な講義がたくさんあり、もともと本や絵が好きだったので、いくつかの講義を受講したんです。


今回、霞さんが働く「国家公務員の世界」について書こうと思ったきっかけは?

世間の思う官僚と言われる国家公務員のイメージと、実際に同僚として働く国家公務員は全然違います。とても魅力あふれた人間味のある一生懸命な人たちだった。この偏見を解消して、もっと信頼感を持ってほしいと思ったんです。国家公務員の日常や働き方を身近に感じることで、国の政策が作られる過程にもっと興味を持つきっかけになっていただければいいなと。これらがきっかけでしょうか。

あとはやはり、自分自身が日々の生活で面白いなと思ったことや驚いたことを単純に書いておきたいという動機もあります。もともと書くことは自分の中でストレス発散の手段だったので…。


霞ヶ関で働く官僚として生きることについて。官僚の仕事になぜ惹かれたのですか?

もともとの転職前の仕事で、国から降りてくる業務がたくさんあり。「どうしてこういう事業が落ちてくるんだろう?」と普段から国を意識することはありました。先輩が人事交流で国に出向していたこともあり、国の仕事をする道があることを知ってはいました。ただ、その時は特に興味は沸かなかったんですね。

その後、研究者になろうかどうか悩んでいた時に、「そうだ、今後の研究のテーマ探しをするために、全体を俯瞰できる国で一度働いてみよう」と思いました。なので、こんなに長く働こうとは思っていませんでしたね。

書店での様子


官僚って普段どんなことをするのでしょうか? 他と大きく違うな、と驚いたことはありますか?

国の仕事は、部署によって本当に全然違うので一概に言えませんが、基本的に「国のルールブックを作る」という「制度そのものを作る立場」です。今までやってきた仕事と違うなと思ったのは、ルーチンワークがなく常に新しい案件が出てくること、今まで遠い存在だった大きなニュースや事件、国会で議論されることが、ダイレクトに自分の仕事に直結することですね。

とはいえ、普段やることは、書類の作成、政策の企画案づくり、会議の事務局としての資料作りや運営、研究の進捗管理、有識者、関係団体、陳情団体、議員など様々な人から意見を聞きまとめて政策案に活かすことなど、非常に地味な仕事です。

 

官僚として日々研鑽する、霞さんなりの学びかたは?

毎日たくさんの情報が入ってくるので、それを読み込み理解することがまず受け身でやることです。また、たいてい2年ごとに異動があるので、その度に全く新しい分野の知識を学ぶ必要があります。異動してしばらくは図書館や本屋でその分野の知識を大量に詰め込み、関係する動画やニュースは日々チェックしますね。さらに余裕が出てきたら、私はその分野をテーマにした映画やドラマ、エッセイ、小説など、ライトなものにも手を広げていきます。それも終わると、日々出会うことや物や人に対して、自分の担当する分野とコラボできないか、参考にできないかなど考えたりします。また、いろいろと勉強する中で、良さそうな方や取り組みが見つかったら、会議などの有識者候補にあげたりします。

広報の仕事などは、映画やドラマやニュースやバラエティなど見ている中で、自分の専門のキーワードに引っ掛かってきた人を広報の候補者としてあげたり、他ジャンルから参考になりそうな動画やウェブサイトなどを見つけてきたり、アイデアにしたりしていました。そういう仕事はけっこう好きなんです。他ジャンルからアイデアの種をとってくるのは面白いですね。

 

やりがいや誇りに思えるのはどんな時ですか?

政策や事業が完成するというプロセスも含め、面白いなと思います。仲間で作っていく感覚が好きですね。


逆に、自信をなくしたり逆境に陥った時はありますか? 

今までの社会人経験も長かったので、仕事の酸いも甘いも経験済みで、すでに入省時から心臓に毛が生えてしまっており、特に自信を無くすことはなかったです(笑)。嫌になったら辞めようと思っていたので、開き直っていたのかもしれません。テレワークなどの働き方について考え方が合わずパワハラにあっていた時は、仕事はやりがいはありましたが、この部署が終わったらもうやめようと思っていました。相手が先に異動になったので一旦落ち着きましたが。

喜びの笑顔なんですけど、伝わらないか

 

今回は初の著書。出版にいたった経緯を教えてください。霞さんは講義最終回の企画書プレゼンでベストプランニング賞になり、メンバーによるメディア「ORDINARY」でも寄稿しました。企画をかためて具体的に書き始めた結果ですね。

そうですね。深井さんの「自分の本をつくる方法」を受け、全然違うことを掛け合わせると面白い、ということを学び、「官僚」×「サブカル」でいってみようと思いました。講義の中で、まずはブログなどで文章を書くことに慣れることを勧められ、noteでブログを書き始めました。その数ヶ月後にコロナが蔓延しだし、それに伴う政府の政策などが世間から注目されるようになりました。ブログを書き始めて半年後ごろでしょうか、たまたま私のnoteを読まれた出版社の方から声をかけていただいたんです。その後、業務の都合やコロナによって働き方がかなり変わったこともあり、かなり時間がかかりましたが、加筆などもしながら今回出版となりました。


仕事以外に、休日、楽しみにしていることは?

美術館などアート鑑賞や、気候がいい時はハイキングや山登りにいくことが楽しいです。


最後に。霞さんにとって自由とはなんですか?

自分で選択できること、やりたいことをやれること、やりたくないことをしなくていいことです。またどこにいても、何を考えるか自分の頭の中は常に自由だと思います。

大学を卒業して10年ほどは、奨学金をもらっていたこともあり、仕事の選択の自由がありませんでした。今は、自分の仕事も住むところも選べるようになったので、しんどくなった時にどうするかの選択肢が自分にあることは自由だなと思います。


ありがとうございます。官僚の仕事を中の人がゆるく伝える本は、今までありませんでした。難しそうと敬遠しがちな国の政策ですが、もっと興味を持つ人が増えるよう後押しする楽しい本。発売したばかりで、ドキドキですね。みんなで応援していきましょう!

<新刊情報> 2023/2/17発売

霞が関の人になってみた 知られざる国家公務員の世界』(カンゼン刊)
 霞いちか (著)

酸いも甘いも体感、これが霞が関の日常だ。 ナゾだらけの働き方がリアルに面白くわかる! 楽しく学ぶ霞が関ガイド本 

・官僚ってどんな人?
・国会期間中は何をする?
・政策はどう作られる? 

【目次】

第1章 霞が関の人の仕事 ―国家公務員は毎日何をしているの?
第2章 霞が関サバイバルガイド ―国家公務員が働く世界を知ろう
第3章 国会期間中の霞が関の人の働き方 ―国家公務員と政治の関わり方
第4章 謎の霞が関用語とは ―国家公務員の業界用語
第5章 霞が関の魅力と課題 ―国家公務員になりたい人へ
<巻末対談>霞が関での勤務経験者が語る、官僚の魅力と課題

 

 



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