講義レポート

お茶の歴史は紀元前から〜人は変われど、お茶は変わらず

「日本茶、コトはじめ」講義レポート

こんにちは、キュレーターの岡島です。「日本茶、コトはじめ」は講義を通じ、当たり前すぎて気がつかなかった日本茶の魅力を発見し、最終講義で自分がコレだ!と思った“My茶の道”を発表します。今回は第2回目「奥深き日本茶の世界」のレポートです。

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お茶と人間の出会いは紀元前
日本茶アーティストの茂木教授よりお茶と人間の出会いからお話いただきました。「紀元前2800年頃、中国で漢方の祖といわれる神農帝が、解毒の実験ためにお茶の葉を食したところから人とお茶の歴史がはじまります。食べたらどうなるかわからない葉っぱを口にしようとする勇気が凄いですよね。」確かに。お茶の歴史を切り拓いた1人の勇気にみな感服し、激動のお茶の歴史にのめり込んでいきます。

日本には遣唐使とともに薬として中国からお茶が輸入されます。その後、お茶をとりまく環境は時勢に合わせて変化します。あるときは貴族の儀式や僧侶の修行として飲まれ、鎌倉時代に流行した賭け事「闘茶」は、室町時代には禁止され、精神的な世界を表現する「茶の湯」が生まれました。お茶が社会に及ぼす影響を政治的に利用した豊臣秀吉と茶の湯の関係はあまりにも有名ですよね。
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▲明治時代に海外へ輸出する緑茶に張られていたラベル。おしゃれ!

私たちのヒーローは売茶翁!
江戸時代の初期に隠元禅師によって煎茶が輸入されると、新たなお茶文化が花開きます。ちなみに隠元禅師はインゲン豆を輸入した人でもあります。また、お茶漬けで有名な永谷園創業のルーツである永谷宗円は1973年に煎茶の製法を確立しました。それまで貴族や武将など選ばれた人しか楽しめなかったお茶を、広く庶民に広めたのが売茶翁(ばいさおう)です。身分の貧しい、賤しいを差別せず、代金を払おうが払うまいが気にせず、世の中の出来事をのどかに語って聞かせたそうです。このエピソードには皆が感銘を受けました。

お茶との付き合い方は歴史にヒントあり
お茶を軸に歴史を振り返ると、お茶と人の関係が見えてくると茂木教授は言います。「これからのお茶と人の付き合い方のヒントがきっと歴史の中にあるはずです。手軽にお茶が飲めるようになった今、真反対の流れが来る気がしています。“お茶を中心に人と人が語り合う場”が普遍的な価値として改めて見直されると信じています。」

400年に1度、お茶の歴史が塗り替えられると言われています。まさに、いま私たちが暮らしている時代はペットボトル飲料のお茶のバリエーションが増え、変革期にいるのかもしれません。私たちが今後お茶とどのように付き合っていきたいのか、じっくり考える時間になりました。



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