美味しいの基準は?自分の味覚の軸を知る
美味しいお茶を淹れるために、自分の味覚を知るところから始めます。好みのお茶はあなたの故郷で栽培されたものかもしれません。味のマトリックス表を使いながら産地別の日本茶を6種ほど飲み比べ、価格指標ではない「わたしの舌が求める味」を知ります。
品種や産地、製法の違いを知り、奥深い日本茶の魅力を語れるようになろう
みんなが集まる中心にもっと日本茶を
お茶は人の集まるところに欠かせない要素。お茶を淹れるという行為が、コミュニケーションを生み、心地よい人の繋がりをつくるのに一役買ってくれているのではないでしょうか。一昔前は、近所の人が自然と縁側に集まり、お茶を飲みながら談笑したものでした。そのような時間がご近所づきあいの潤滑油となり、人を繋げ、いざという時に自然と助け合えました。お茶を通じて人と人が和みあう文化は“和”を尊ぶ日本人の精神。性質の違うもの同士を受け入れ、あいまいさを許容して人を繋げる力がお茶に宿っているのかもしれません。講義を通じて得た知識や経験は、日々のお茶の時間をぐっと豊かなものにしてくれるでしょう。
日本茶はフリーダムな飲み物 肩ひじはらずに淹れてみる
千利休の死後、分裂と収縮へと向かっていた茶の湯に代わるもうひとつの伝統として江戸時代に発達したのが急須に茶葉を入れて飲む煎茶文化です。本来お茶は上流階級のたしなみでした。しかし高価な道具や物質的な富ばかりを気にする社会に反発した売茶翁(ばいさおう)は道端にござを敷き、自分の淹れる茶に客が値段をつけるという投げ銭スタイルを始めます。自由と個性の可能性を象徴する存在として煎茶の歴史があります。また、急須でお茶を楽しむ行為は夏目漱石のような文人に愛されました。茶葉の個性を理解して淹れられたお茶は芸術の域まで達し、自分さえ気づいていない感性を呼び起こしてくれます。最近ではエスプレッソマシンやエアロプレスといったコーヒー機器で日本茶を楽しむ人もいるようです。
茶葉にはさまざまなストーリーがあります
茶葉は農作物であり、育った風土の結晶です。産地の違いだけではなく、茶摘みをしてからさまざまな行程を経て、煎茶や玉露、番茶などバリエーション豊かなお茶に変身します。日本茶の最大の特徴は、蒸して茶葉の発酵を止めること。お茶屋さんはいろいろな産地から仕入れたお茶の出来具合でブレンド(合組)をして味を安定させています。一方、農家が販売しているお茶はブレンドなしのシングルオリジン。あなたが人をもてなす時、一人でリラックスしたい時など状況に合わせて茶葉を選べるようになれば楽しみが広がるでしょう。今まで気に止めなかった街角にひっそりとあるお茶屋さんが気になり出すかも。
あなたのお茶会を企画してみよう
日本茶から柔軟なインスピレーションを得られるよう、既成概念に捕らわれず日本茶の魅力を伝えている方に学びます。お茶の魅力に取り憑かれ、アパレル業界から茶商へと転職し、歴史や作法などに詳しい市川雅恵さん。「おいしいお茶のいれかたうた」が発売中の日本茶アーティスト、茂木雅世さんという異色の2人が教授です。
あなたの加減でどんなお茶を淹れるのかは、季節やその場に集う人々によって変わります。うま味を引き出すにはぬるめでじっくり抽出。渋さを楽しむなら高めの温度でさっと短めに。お茶のリラックス効果や覚醒効果、茶器の選び方など、さまざまな方法で日本茶の魅力を紹介してみましょう。
(第8期募集開始日:2016年4月18日)
第1回
美味しいお茶を淹れるために、自分の味覚を知るところから始めます。好みのお茶はあなたの故郷で栽培されたものかもしれません。味のマトリックス表を使いながら産地別の日本茶を6種ほど飲み比べ、価格指標ではない「わたしの舌が求める味」を知ります。
第2回
お茶と人類との関係は紀元前まで遡ります。時代が変わってもお茶を飲む習慣は続き、お茶のために命を落とした人や事件が起きたりと“和み”とはほど遠い史実もあるのです。この回では江戸時代に煎茶文化を広めた人物、売茶翁についてスポットを当てます。
第3回
お茶を淹れるためにお湯の温度と茶葉の関係を知りましょう。季節限定の新茶、玉露、普通煎茶、深蒸し煎茶、釜炒りなど製法や産地によって香りや渋み、うま味の引き出し方が変わります。お茶の個性を引き出して“場”に合ったお茶を振る舞えるようになると素敵です。茶葉に合った急須の選び方や、淹れ方を学びます。愛用の急須をご持参下さい。
第4回
日本茶が心身に働きかける作用について学び、かしこく生活に取り入れていく方法を探ります。また、お茶の美味しさを人に伝えるための表現を磨くワークショップを行います。
第5回
前4回の講義で、日本茶のさまざまな魅力を発掘してきました。最終回では、あなたが選んだ茶葉の魅力をプレゼンテーションして、皆に試飲をしてもらいます。あなたが「美味しい!」と思った感動を伝えてみましょう。