講義レポート

日本茶でソーシャルアクションを起こす

「日本茶、コトはじめ」卒業生の活躍ーその1

「日本茶、コトはじめ」の1期が開催されたのは、今から3年前の2013年5月でした。その頃は、まだまだコーヒーに注目が集まっていて、特に若い層はあまり日本茶に注目していなかったかもしれません。しかし現在はだいぶ風向きが変わったように思います。日本では飲み物を囲み談笑する「喫茶文化」が根付いているので、自然と自国の飲み物に興味・関心が向けられてきています。

現在、講義は7期を終了し、卒業生は100名に迫ろうとしています。今回は、受講後に活躍する卒業生をご紹介します。

5期の卒業生である内山尚久さんは、イベントなどで日本茶の魅力に気付いてもらうために、味わうだけではなく、感性をフルに使って日本茶を捉えるワークショップを開催しています。本業は、アートディレクターで日本茶インストラクターでもある内山さんは、2014年の自由大学祭の時に出展した講義ブースをカッコよくプロデュースしてくれました!

日本茶、コトはじめ

売茶翁にインスピレーションを受けた「Blue Wind of Tea」というブースで、煎茶の飲み比べが楽しめました。一番左が内山さん。

内山さんは、4月16-17日に国連大学前のファーマーズマーケット内で開催された「TOKYO CRAFT MARKET 01」に出店しました。その際に開催したワークショップは、急須で温度を変え三煎飲んでもらったお茶の印象を、それぞれ砂絵で表現してもらうというものでした。ゲームに参加して頂いたお客さんは、年齢、性別、国籍、お茶に対する知識、絵に対する技量など、一切関係なく楽しんでくれたそうです。

内山さん曰く、「目的としては、既存の情報にとらわれず一つの液体として集中してもらう事で、煎茶の新しいイメージを見つける実験です。」とのこと。また、お客さんの結果として興味深いポイントとして、以下のような点を挙げて下さいました。

13325590_980070678781126_2809762100702314634_n

1.砂絵はお茶イメージの代表的な色、緑には殆ど捉われていなかった。
2.常滑急須と有田磁器湯呑みで提供したにも拘らず、殆どの人が〈和〉イメージを連想していなかった。
3.お菓子を持ち込んでゲームに参加したお客さんも、お茶の味に集中すると最後まで食べる事を忘れていた、など。

13308372_980071215447739_7062120066310106763_o

内山さんはこれらの結果を受けて、日本茶の未来を考えるのに今までとは異なる視点が必要だと語っています。「〈緑色・和・お菓子〉は煎茶の代表的なイメージなのに、ワークショップの結果は煎茶に対する固定概念を打ち破るものでした。抹茶がスウィーツ需要でバブル状態なのに対して、煎茶は過去最低の市場取引額の為、静岡の名人達がいる地域の茶園でも、どんどん耕作放棄地が増え始め雑草に覆われた茶園が増え続けています。今までの煎茶イメージを覆せれば、緑茶にはもっと未来があると思います。」

内山さんは「Q Impression of the Modern Japanese Tea」という名前で活動されています。今後は美術館、障害者施設、外国人クラブ、幼稚園、その他イベントなど様々はところで開催したいと考えているようなので、ご興味のある方は是非コンタクトしてみて下さいね。

13339625_980068808781313_6618599505680460171_n

 



関連する講義


関連するレポート