講義レポート

ジャパニーズエールの時代は来るか?

僕らのビール学 教授コラム 小山田貴子

 

私がクラフトビールにハマって約16年、ブームが来て約8年、そして「僕らのビール学」を担当して6年が経とうとしている。取り巻く環境も随分と変わった、いい意味で。

ブーム到来で海外のクラフトビールがどんどん輸入されるようになったり、飲める場所も都心のみならず、地方でもずいぶん増えた。
国内のブルワリー(ビール醸造所)にいたっては数年前から50以上増え今では300を超えた。担当するクラスでの授業の一環でフィールドワーク(ブルワリー見学)を実施しているのだが、開講当初は都心にブルワリーがなく、茨城の牛久や山梨の甲府まで足を伸ばしたものだが、今は都内でも容易に見つかる。

この背景には昨年4月に施行されたビール醸造に関する規制緩和があったことが大きい。
そしてこの緩和は醸造所が増えただけでなく、使っていい副原料の幅も大きくなった。これまで麦芽、ホップの主原料のほかは米やスターチなど限られた副原料を使ったものしか
ビールと呼べなかった(他の原料が入ったものは発泡酒扱いだった)。それが昨年からはドライフルーツやコリアンダーなどのスパイス、ハーブのほか、味噌やゴマ、昆布、かつお
節までが副原料として認められるようになったのだからこれはもう楽しいしかない。

ちょっと前置きが長くなってしまったか。要は、ただでさえビールはモルト×ホップ×酵母(これもかなり影響力ある曲者)の数多ある種類の組み合わせで無限大のテイストが出来
上がるというのに、これらの副原料が加わわろうものなら”味覚のワンダーランド”に昇華されるのだ。「ビール=苦い」の定説は「今は昔」なのである。

ファッション同様、クラフトビールにも世界共通のトレンドがある。今は「濁ったビール」と「酸っぱいビール」だ。
見た目と聞こえはちょっとアレだが、苦み付けとして知られているホップが実は華やかな香りの源だったり、ヨーグルトよろしくお馴染みの乳酸菌が使われていたり。自由奔放や
りたい放題、ビールはやっぱり「楽しいお酒」なのである。

【影響を受けた本】「JAPAN BEER TIMES」

出る度楽しみにしているフリーペーパー季刊誌。編集長はアメリカ在住のアメリカ人であるが、日本国内のブルワリーの最新情報やビアスタイル情報などバイリンガル(英語)で
紹介している、ある意味私のアンチョコ(アンチョコって今言う?)。
ビアパブなどに置いてあるので、見つけたら手に取るべし!

text : 小山田貴子教授    担当講義: 僕らのビール学



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