講義レポート

点から線へ、記憶をめぐる旅を編む

文脈登山で世界を拓く 第1期卒業生講義レポート

文脈登山で世界を拓く 講義レポート 第1期 守山みのり


登山は初心者ながら、「偏愛」というキーワードに妙に魅かれてしまい、受講を決めた今回のクラス。登山についてはほとんど未知の領域だけど、元々旅好きであちこちに出かけていたこれまでの記憶が、この講義を通して「点」から「線」となってつながっていくのが不思議で面白かった。これが「自分なりの文脈」を見つけるということかと、目から鱗の経験となったのだ。

第1回の講義で、講師の大内さんがしてきた日本各地の山旅フォトツアーがあった。色々なエピソードを交えた山旅の話を聞くのはとても楽しくて、文脈を辿りながら山旅を編むとはこういうことなのかと思っている中、そのひとつに岩手県の三ツ石山のスライドがあった。八幡平から伸びる裏岩手縦走路にある山で、「神の絨毯」と呼ばれる秋の紅葉の写真がとても美しい。ここで出てきた八幡平が、まさか最終講義の発表につながっていくとは、このときは思いもしなかった。


第2回の講義。「今すぐではないけど、いつかやりたいことは何か」という視点で自分の「偏愛」の棚卸しをする。このとき私は「富士山の最高地点である剣ヶ峰に登りたい」と書いた。以前富士山に登ったものの、山頂の天候不良で剣ヶ峰までは行けなかったことがあり、それが心残りになっていたからだ。これを受けて、大内さんが「忘れ物を取りに行く旅というのもいいね」とおっしゃったのが心に残った。

そうして迎えた最終講義。受講生それぞれが自分たちで編んだ「山旅×○○」の旅を発表していく。私はこれまでの講義で出てきたキーワードから『八幡平×忘れ物を取りに行く旅』を考えて、発表した。中学の修学旅行のこと、八幡平に行く予定があったものの、そのときも天候不良で行けなかったということを、一連の講義の間に思い出したのだ。だから、ぜひ行ってみたいという気持ちでプランとストーリーを編んでみた。

講義で出てきたキーワードと自分の中に閉じこもっていた記憶とがつながって、こうした形になっていくというのが自分でも意外でとても面白かったし、また、他の方の発表も時折マニアックなまでの偏愛が垣間見えてとても楽しかった。いつか皆で偏愛の山旅を歩きたいと思った。

今回はオンラインのクラスだったので、まだ講師の大内さんとも、他の受講生の方とも会ってはいない。でも、自分の偏愛をさらけだし、他の方の偏愛の話を聞くことで、一気に打ち解けることができたと思う。私は登山初心者だけど、そのことを一切引け目に感じることがない旅好きの集まったクラスで、むしろ登山道具のことなど色々と教えてもらうことができてありがたかった。

実際に彼らと一緒に旅をする日は、早ければ秋ごろだろうか。その日が来ることを、心から楽しみにしている。

TEXT :文脈登山で世界を拓く 第1期卒業生 守山みのりさん



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