講義レポート

滞らず流れよ

教授コラム 深井次郎(自由大学学長/教授)


水の量よりも
循環しているか
滞らず流れよ。淀んでいないかと。

自然の摂理にしたがって生きる。そういうことを考えます。生きているもので、固まっているものはありません。細胞のような小さなものも、海のような大きなものも、つねに振動し、流れ、循環しています。水のきれいな小川であるか。ときに自分に問いかけます。淀んでいないかと。人からもらったご厚意も、チャンスも情報もお金も人の流れも、いつも流れている状態にしておきたいものです。

自分のところに流れる川をまずつくる。最初は、チョロチョロからはじめます。そしてそれを少しずつ太くしていったり、本数を増やしていったりする。その川から少し手ですくって自分の飲み水をいただく。そういう生活です。川の水を一気にモーターで全部吸い上げたら涸れてしまう。川の水を独占してダムを造って塞き止めてしまったら、たちまち水は滞留し深緑に腐ってしまう。腐ってしまっては飲めません。心と身体の健康が崩れます。

川は、一時的に太くなったり、細くなったりするものです。けれど、どんなに細くたって、流れがあるというのが大事。細くなると、つい将来が不安になって、全部溜め込んでしまうものです。自分のところから下流に流してしまうのがもったいなく思うのです。余裕がないのだから、一滴も流したくない。そうすると、川は死に、流れがパタリと来なくなります。不況だと言われるようになると、溜め込んで流さずという人が増えます。そして腐っていく。川の太さ細さは問題ではなく、流れているというのがポイントです。

立ち止まってしまうと、情報も人も流れなくなります。本を読んだりインプットしたらアウトプットして流れをつくること。水たまりでは干上がってしまいます。親切もされたら、きちんと隣の人へ流すこと。いま、ちゃんと流れていれば何の心配もありません。あなたの小川はきれいかどうか。滞留していないですか。

TEXT: 自由大学学長  深井次郎

担当講義:  自分の本をつくる方法  Lecture Planning学



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