講義レポート

「手の中のひらめき」をつなぐ

小さな教室をひらく 第14期卒業生講義レポート

私にとってアートとは、自分の中にも外にもあるもの、全てとつながっているものです。今までアメリカと日本でやってきたアート・ワークショップと自分とのつながりを探り、より自分らしい形のワークショップを開催したいと思っていた時、この講義に出会いました。今回偶然にもアート系の受講生が集まり、異なる視点から意見を聞けたこと、プレ講義を体験できたことはこの先自分がどうしていきたいかを考える良いきっかけとなりました。

各講義時間の前にプレ講義という、教授キュレーター受講仲間を相手に、自分が開催したいと思っている内容の短いワークショップを開催する機会がありました。講義2日目、受講仲間が行った臨床セラピーのプレ講義は、自分のやっていることともつながりがあり、とても興味深いものでした。パステルとベビーオイルを使ってひたすら丸を描いていくというものなのですが、色を重ねることや指の下の画用紙の感覚を追い求めていたらあっという間に時間が経ってしまい、自分でも驚きました。思いがけない色との出会いや広がりに共感できた30分間でした。

3日目の私のプレ講義では、いつもは子どもを対象にしてきた内容を大人用に変え、材料と言葉、そして空間との関係性を考えるワークショップを行いました。それぞれの参加者たちのつくった小さいパーツが大きなひとつのアートになった時、みんなに楽しかった、2度ワクワクした、最後に驚きがあったと言ってもらいました。それを聞いて、今まで私がつくってきたアートと、過去のワークショップで伝えたかったことが初めてしっかりとつながった気がしました。

この講義中、プロフィール作成にとりくむ時も含めて、誰に対してワークショップをひらきたいのか、と何度も質問してもらいました。そして気づいたことは、私のやりたいワークショップはお気に入りの雑貨屋や本屋、カフェのようなものだということです。そこには年令や経歴の隔たりは無く、好きなものの在り方やつくることを好きな気持ちに共通点がある人たちが集まり、一緒に変化していく、そんな空間をつくっていきたいと考えています。

私のワークショップでは、それぞれの開催場所やその時々のテーマに合わせて、つくるものが変わっていきます。それはブローチのように手の中に入るものから、インスタレーションのように大きなものまで様々です。ただ共通して、その場所に居合わせた人たちのアイディアがひらめき、材料に触れ、つくって発表して一緒に違いを楽しむ、そのプロセスや空間、共有した時間さえも、作品の一部として持って帰ってもらえたらと思っています。


講義での最後の発表で、私がやっていきたいワークショップについて『これはあなたの人生そのものだから、あなたはそのままでいい』という言葉をもらいました。それは、決して変わらなくてもいいということではなく、私らしい変化を楽しんでいくということなのだと思います。これから1年後もその先も、道に迷って立ち止まることもあるでしょう。それでも自分の心に正直に、人との出会いを大切にして、色とりどりな形のアートをつなげていきたいです。

 

stella tree workshop主宰  (14期卒業生)



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