講義レポート

ノウハウだけじゃない、「山」+「○○」を得られる講義

「東京・日帰り登山ライフ」25期講義レポート

 

あたらしい景色が見たい。でも、どうやって?

社会人になって十年以上、趣味もそれなりにあって、友人もいるけれど、人として尽きない好奇心ってあると思う。そんなときにたまたまこの講義の募集を目にした。引っかかったキーワードは「東京」「日帰り」「ライフ」「初心者」。

ちょうど半年前の夏に、高尾山に登ってその魅力に気づきはじめていたけれど、情報過多の時代にあって、世の中の登山情報には選択肢が多すぎて。自分はどう登りたいんだろう……そんな迷いがあったタイミングだったのだ。

この講義では、「これこれを買いなさい」「こういう風にしなさい」というノウハウだけの固定観念にはまった説明はない。登山というものの社会的なルールや規範、本当に必要な情報やヒントは話してくれるが、それを「どう」実施するのかは「あなた次第」というスタンス。自分で感じて、考えることを大切にしている。

3回目の登山装備の説明も、こと細かくどんなものが必要なのかがわかるので、何を揃えていくかを自分で納得して選べたと思う。何よりも、会社じゃない別のどこかで、誰かと集まるという1時間半が楽しかった。

4回目のフィールドワーク当日は、東京に何年ぶりかの大雪が降った二週間後だった。御岳山は、比較的初心者にやさしい山だというけれど、その当日は25cmの積雪があり、足首はすっぽり覆われてしまう雪道になっていた。

異例の状況にもかかわらず、教授の大内さんのコーディネートで、初の雪山をも難なく楽しい時間に変えてしまうことができた。これも「講義を受けてよかった!」と思えた理由。どんな状況も、自分次第だということ。

軽アイゼンやゲイターを用意し、装着するというのもほぼ皆が初体験。おろおろしつつも、眼前の真っ白な雪景色が気持ちを子供に戻してくれる。はしゃいで、笑って、ちゃんと疲れて(笑)、最高の1日となった。

 

講義が終わった今、すでに一ヶ月後には次の同期登山の計画がたっている。そう、ノウハウだけじゃないと言った理由はここにある。「東京・日帰り登山ライフ」では、同じ気持ちを持った、けれどまったく異なる人生を歩んできた“山仲間”ができるのだ。

いい大人になってからの友達づくりは、とても難しい。だんだん友人の幅も、狭く深くなっていく。そこに風穴をあけて、あたらしい景色が見たかった私は今、清々しい山の景色とともに、横には笑顔の仲間たちを思い浮かべることができている。

 

(text:田中里実、photo:大内征)



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