今回は「小さな教室をひらく」卒業生の活躍をレポートします。
第1期卒業生 国分佳代さんは書家として、作家活動、商品ラベル文字プロダクト制作、ワークショップ@東京・金沢の開催と大活躍中です。国分佳代さんという人の中に作家・職人・マネージャー・先生」と何人もの役柄が同居しているかのよう。一体どのようにという流れで今の教室スタイルが出来上がったのでしょう。興味津々聞いてみました。
花村「書との出会いは少し遅めの18歳とのことですが、その後のキャリアにおいても、書との付き合い方が他の書家さんとは違うと思う事はありましたか?」
国分「他の書家さんのスタンスはあまり分かりませんが私は作家でありクライアント仕事もし、教室もやっています。クライアントの仕事量は波があります。特に震災直後は仕事の量が急激に減った時期がありました。生計を立てていくためにも教室で収入を安定させる必要を感じました。最初は苦手だと思っていた教える仕事も、回を重ねるにつれて得意だったんだと言うことが分かってきました。続けることで自信を持てたと言うことが大きいと思います。今はとても楽しくやっています。現在は東京と金沢の2拠点の教室を行き来しています。」
花村「書についてより多くの面で関わっているという感じですね。教室やワークショップはどんな想いでやっていますか?」
国分「教室では書を楽しんでもらうことにフォーカスしています。段をとったりという何かをクリアして行くための制度はあえて作っていません。日常を少し豊かにするための書の教室があってもいいのではないかと思いました。日常の中で筆で文字を書くことを気負わずさらっとしてみたいという気持ちを持っている方は案外多いです。私なりにそれを実践できるカリキュラムを作っています。カリキュラムは自分が作品を制作する過程で作りあげたものがベースになっています。教室のカリキュラムも作品と同じで、伝えたいことや自分らしさが核になると思います。数ある書の教室の中で他にはない付加価値をいつも考えています」
花村「職場でもプライベートでの何かでも、上達することや何かの役に立つことが求められすぎている。みんなそれに疲れてしまっているのかもしれませんね。」
感想
<小さな教室をひらく>の講義はどうでしたか?と聞くと 「自分で教室を始め出してからジワジワと効きました」と話してくれました。国分さんの5年間にわたる試行錯誤が垣間見えた瞬間でした。
作家活動や商業書道という関わり方に固執するのではなく、自分の枠をしなやかに広げ教室という器も持つこと。このように多面体で活動する事は、単なるセイフティーネットになるだけではなく、一つ一つが影響を及ぼしあって国分さんの活動を何倍にも広げ、味わい深いものにしているように感じました。