講義レポート

自分の日常が誰かの価値になる

未来を耕すダブルローカルライフ第4期講義レポート

毎回、「未来を耕すダブルローカルライフ」の講義の第四回は、新潟県十日町市に移住やUターンをして活動をしている方をゲストにお迎えして、ローカルで活動・発信していくことについて考える講義になっています。第4期のゲストは、ギルドハウス十日町のギルドマスター、 ハルさんこと西村治久さん。「ギルドハウスって一体何?泊まれるシェアハウスのようなところかな?」と???いっぱいで迎えた当日。

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一言で言うと、ハルさんは、十日町市の小さな集落にある自分の家を100%住み開いて、ソーシャルな隠居を展開しています。

震災がきっかけで それまで20年近く働いてきたITの仕事を辞めて、3年以上日本各地を旅して暮らしていたハルさん。「働かなくても、それでも世間と隔絶されることなく、よりご縁が広がる生活によって、死ぬまで楽しく暮らしていきたい。」その思いを実現するため、44歳でセミリタイアして、築100年以上の古民家をセルフリノベーションしてギルドハウス十日町を始めました。世界的な起業家コミュニティの新潟県版「Startup Weekend Niigata」発起人を務めるなど活動範囲は多岐にわたります。

「一家のおじいちゃんは働かず何もしないで一日中コタツの中にいても、みんなから大切にされてるよね。そんな存在を目指している。」ハルさんは、その言葉の通り、出会った瞬間からおじいちゃんのように暖かく包み込んでくれるようなオーラがある人。

「住み開き」とは「DIYミュージック」のゲストとして自由大学に来たこともあるアサダワタルさんが提唱した言葉。自宅というプライベート空間を開放して、さまざまな人の行き交うパブリックスペースとして共有する活動のことを言い、同名の本も出版されています。
「月に1度」とか「自宅の一部を」という形の住み開きがほとんどの中、ギルドハウス十日町は100%住み開き。お店でも宿でもなく、事業でもなく、あくまで住まい。。。と言われても、仕組みがイマイチわからずに「訪れる時や泊まる時は連絡した方がいいですか?」とお聞きしたら、特に連絡なしでふらっと立ち寄ってしまって大丈夫とのこと。朝起きて、茶の間にいくと、コタツに知らない人が入ってることも日常茶飯事のようです。

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「行動して共感が得られれば、出会いと展開につながる」ギルドハウス十日町を初めてまだ1年10ヶ月程とのことですが、5000人以上が訪れたそう。そんなにも多くの人々が、住んだり泊まったりぶらりと立ち寄ったりしてますが、個人的な「ハルさん家」でもあるギルドハウス十日町。自分の生活目線や自分軸、自分ごとを大切にして、持続可能な場所として様々な「しかけ」をデザインしているそうです。

話を聞けば聞くほど、興味が湧いてくるギルドハウス十日町。「こういう空間は体験しないとわからない」と言うハルさん。フットワーク軽く、さっそく講義後すぐに見学に行った受講生は、「ペイフォワードの奇跡」と感想をFBに投稿してました。

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ハルさんのトークから大いに刺激を受けた後は、3つのグループに分かれて、「自分軸をどうコンテンツ化する?」「無理なく生かせるいいところは?」について、それぞれ次の一歩を踏み出すためにどうしたらいいか、考えていることのシェアタイム。それぞれのグループには、教授やゲストのハルさんも加わって、受講生のプランにアドバイスもいただきます。

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ハルさんの混ざったグループでのお話で1つ印象に残る言葉がありました。「シェアには2種類あるよね。共有という意味のシェアと、マーケットシェアという言葉に使われているような占有という意味のシェア。」ハルさんの言葉に、一瞬キョトンとする若い受講生たち。

以前のハルさんは、共有という意味のシェアの意識は薄く、日本各地を旅していた時に、そういった思想に出会ったそうです。(逆に、ハルさん曰く、今の若い人たちは共有という意味のシェアが普通になっている。)ギルドハウス十日町のような、シェアやギフト経済の思想をまるごと実現しているような場所をつくっているハルさんにそんな歴史があったということが聞けて、今ある世界がこれから変わっていく可能性をぐっと感じた気がしました。

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1泊2日の新潟県十日町市まつだいでの講義は、この他にも、四季折々の様子を肌で感じたり(今期冬編はまだ雪が残る豪雪地帯の2月を体感!)、日本3大薬湯の1つでもある松之山温泉に足を運んだり、毎回恒例ゲスト若井さんのお話をお聞きしたり(今回は若井さんの貸民家の囲炉裏を囲んでの講義になりました&どぶろく部屋も見せていただきました)、行き帰りの時間をゆっくり自分のことを振り返る時間に生かしたり。

帰る時には、2日間でググッと変化した様子が、受講生の表情や言葉の端々に感じられました。

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(text by キュレーター sawako



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