ダブルローカルとは?
教授の実際の体験談(東京での活動や新潟県十日町市に拠点を持つことになった経緯)を通して、2つ以上の地域に拠点を持って活動をしていくことについての具体的な出来事を俯瞰しながら、そこで起きた自分自身の視点や環境の変化についてお話します。
「都市とは?ローカルとは?」について、それぞれの見解を比べたり、「都市とローカルの利点と問題点」や「自分がローカルに拠点を持ったらやってみたいこと(妄想的実践)」について、話し合います。
※講義後、30分程度 新潟でのスケジュール・交通・
クリエイティブな種を地域に撒く@東京・清澄白河 & 新潟・越後妻有
もうひとつの「戻れる場所」、オルタナティブな場を持つということ。
新しい生き方や価値を見つけようと考えるとき、環境を変えること、サイト(場)を見つけることは大きなカギとなります。地方は、都市部に比べて経済的負担もぐっと少なく、好きなことを営みにするためのハードルが低いことも確かです。また、その営みがその土地の人に必要とされる可能性も高い。地方には職が少ないと言われがちですが、逆に考えれば職を創るのには向いているかもしれません。
このようなことは、何となく頭では理解できるけれど、今あるもの全てを投げ打って「移住」するというのはハードルが高い。今の自分にはそんなライフスタイルは向いていない。そんな風に考えている人は、実はとても多いのではないでしょうか?
都市か、ローカルか?
移住か、現状維持か?
「ダブルローカル」とは、どれも同じ重さの愛すべき「地元」として複数の場所を行き交うこと、そして、この生活や経験を通じて得た視点のことです。
2つの拠点を、日々の暮らしと仕事の両方の本拠地として、どちらも「地元」=マイ・ローカルだと思いながら、生活し、営みを続けること。 これは、従来型の、富裕層の人々が田舎に別荘を持つことや、 一家の主人が単身赴任して別邸をつくることとは、まったく違うライフスタイルなのです。そして、どちらかを取捨選択したり否定したりするのではない生き方をもつことは、多くの気づきをもたらしてくれます。
自分がやりたいことを「営む」ことが、「まちに関わる」ことになる
これからの日本の人口減少、過疎と過密の2極化。それらが生み出すアンバランスな社会状況が、現在、目の前にあります。しかし、それらは個人が1人で解決するには、大きすぎる問題です。
個人のやりたいことを実現することと、社会状況を少しでも変えることを、結びつけることはできないのでしょうか?
「ダブルローカル」は、小さな個人の活動の可能性を広げるライフスタイルでもあります。小さな「営み」を持つこと。自分が好きなことや、できること、小さな部分から「営み」につなげていくこと。「営み」によって人や地域との接点は自然と深まります。
複数の地元を行き交う生活をしていくことは、そこで何かが出会い、クロッシングして、 化学反応が生まれて行く状況をシェアする「場」をつくることにつながっていきます。ささやかな動きではあるけれど、文化交流としか名づけようのない状況が じわじわと、関わってくれるすべての人たちによって形成されていく現場がそこにできていきます。
それは自ずと、地域の新しいインフラになっていくのです。
ひとつの拠点が、まちにオルタナティブなレイヤーを形成していくことにつながっていく始まりなのです。
でも、どうやって実現する?何が先?何が大切?どのように?
自分たちのペースで、地域とつながっていく
教授の後藤寿和さんと池田史子さんは、2013年に「ダブルローカル」という活動スタイルを提唱し、ロハスデザイン大賞を受賞。東京と新潟県十日町市、2つの拠点を持ちながら活動している2人ならではの、体験や地域でのネットワークを生かした講義になる予定です。
いわゆる田舎のスタイルにあわせるのではなく、自分たちらしい都会暮らしのセンスを持ち込みながら、マイペースに、地域との関係性のバランスを模索していく。しっかりと計画をつくりあげてから行動するのではなく、まずは一歩を踏み出してみる。そんな教授の、本気だけど同時に肩の力がうまくぬけている空気感からも、学ぶことが多いはずです。
また、十日町市は大地の芸術祭の舞台でもあり、2015年の芸術祭では、教授の2人も奴奈川キャンパスに参加しました。そういった点で、地域でのアート活動に関心がある方にも、興味を持ってもらえる内容です。
実際に現地を訪れ、肌で感じながら考えたり話しあったり。ダブルローカルについての視点を通して気づいたことや大切なことを皆で共有し、探求していきます。
教授からのメッセージ
私たちはgift_という名前で空間のデザインや企画の仕事をしています。
東京の清澄白河に、オフィスでありながらデザイン・アート・音楽などの商品を置いたり展示や音楽のイベントなどもおこなう(現在はカフェも併設)開かれた場所「gift_lab」を運営しながら、2012年からは、新潟県十日町市にある一軒屋をリノベーションしたカフェとドミトリー「山ノ家」の運営もおこなっており、東京と十日町の2つの拠点を行ったり来たりする生活をしています。
2011年の中頃に、東日本大震災がきっかけとなり様々な思いが揺らぎ巡る中で、偶然、「地方での拠点」という話が舞い込んできました。このご縁に、今までになく可能性を感じ、ほとんど準備も心構えもないうちに現地でのプロジェクトをスタート。以前から様々な人が出入りするオープンな場をつくりたいという思いはありましたが、カフェやドミトリーを運営するということも、全く初めてのことでした。
こうしてうまれたのが「山ノ家」という拠点、そうして走りながら考えるライフスタイルをかたちづくる中で、スッと落ちてきたのが、「ダブルローカル」という言葉です。
山ノ家を立ち上げるまでは、自分たちがローカルエリアでの活動をすることなど全く想像もしていませんでした。東京という超過密都市と過疎が進む地域、二拠点での活動がはじまり、そのおかげで、どちらかを取捨選択したり否定したりするのではない生き方が、私たちに多くの気づきをもたらしました。(この辺りの経緯については、コロカルの連載に詳しく書いているので、よかったら読んでみてください。 )
私たちが実際に走りながら考えていることを共有し、共にに自己実現の可能性を探ってみたい。東京と新潟十日町の2つの拠点を、実際に持ち運営する視点を通して、気づいたことや大切なことを皆で共有したい。ひとつの拠点が「点」から「線」へ「面」へと、まちにもう一つ別の魅力のレイヤーを形成していくことを目指して、講義で学んだこと感じたことを、それぞれのものとして持ちかえり、一人一人の何かに活かしていけるような講義にしていきたいと考えています。
・藤田理生さん(野良キャンプ、建築家)
・柳 大祐さん(Salix Associates, Architects)
・高木千歩さん(ALE beer&pizza 店長、株式会社 YELL 取締役)
・西村 治久さん(ギルドハウス十日町 ギルドマスター)
・若井明夫さん(NPO法人越後妻有里山協働機構 代表理事)
(第8期募集開始日:2019年07月05日)
第1回
教授の実際の体験談(東京での活動や新潟県十日町市に拠点を持つことになった経緯)を通して、2つ以上の地域に拠点を持って活動をしていくことについての具体的な出来事を俯瞰しながら、そこで起きた自分自身の視点や環境の変化についてお話します。
「都市とは?ローカルとは?」について、それぞれの見解を比べたり、「都市とローカルの利点と問題点」や「自分がローカルに拠点を持ったらやってみたいこと(妄想的実践)」について、話し合います。
※講義後、30分程度 新潟でのスケジュール・交通・
第2回
新潟県十日町市での山ノ家と、東京清澄白河でのgift_lab GARAGE。
第3回
第3・4回の講義は、
第4回
山ノ家やgift_
第5回
新潟県十日町市松代から都市に戻ってきた上で、改めて、