講義レポート

「どちらも選べる」を選ぶために

生き方デザイン学 教授コラム 海野千尋

ワークとライフ。お金とやりがい。子育てと仕事。
よく二項対立に上がる言葉を思いつくままあげてみました。

どちらかを選んだとしたら、どちらかを諦めなければならない。
そうしたくない!と心の奥底が言っていてもそういう世の中なのだろうと思い、
20代は生きてきたような気がします。
でもやっぱりそうじゃないな、と思えたきっかけは私にとっては3.11でした。

大切にしたいな、と思っていることをどちらも選びたい。
それは先に上がった二項対立に挙がるそれぞれかもしれませんし、
2つだけではなく3つ、4つとあるかもしれません。

私にとって、小さき人と暮らすこと(子育て)と働くことは、
どちらも大切なものだという自覚があります。
その自覚をどうやって引きずり出したか。

過去一度自分が”おもしろい”と思う対象について分解作業をしたことがありました。
大きく分けて5つの言葉が抽出されたのですが、
私が「あぁ、おもしろい」と感じる気持ちが湧くポイントはここなのだな、と納得できた機会がありました。
そして「働く」はその5つの言葉が全て属していることがわかったのはもう10年くらい前になります。
今、小さき人と暮らすことも、まさに5つの言葉が宿っているなとしみじみ感じています。

大切なものが自分にとってなぜ大切なのか?が言語化できたこと。
これは「どちらも選択したいです」を自分に向かって改めて決意表明できると同時に、
他者に向かって伝える手段にもなると思います。

どちらも大切でどちらも選びたい。
その意志さえはっきりと決まるのであれば、
あとはそのどちらも選ぶためにできうる方法、手段、場所、人を探す次のステップに進めるように思います。

自分にとって選びたいものはなんなのか。
選びたい理由はなんなのか。
まずは自分の内側ととことん問いを立てて自分と対話することを繰り返していこうと思います。

【影響を受けた本】

「なんのための仕事?」西村佳哲
河出書房新社

もともと西村さんの本は何冊も読んでいたが、この「なんのための仕事?」は3.11以降に出版されたもの。
帯にもある「for what?」という言葉が全てを貫く問いだなと思うのですが、
3.11以降なんのための仕事なのかを自分で見つめていくときに1つの指針となった本。

TEXT:教授 海野千尋

担当講義: 生き方デザイン学



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