「まちづくり」あるいは「地方創生」という言葉を聞きますが、そもそも何でしょうか。特に2011年の東日本大震災以来、メディアでも多く取り上げられましたが、具体的にどのようなことなのでしょうか。同じ地域に暮らす人とのコミュニケーション、地方の雇用創出等、いろいろ思い浮かべると思います。
この講義では、まちづくりや地方創生は「ある地域が活性化されるモノやサービスが生まれやり取りされる経済活動を起こし、継続していく」ことが必要として、「ローカル都市経営」をテーマに具体的なアプローチを学んでいきます。教授は、アメリカ・オレゴン州ポートランド市開発局にて国内外からの投資・企業誘致や産業の輸出支援を手がけてきた山崎満広さんです。今まで仕事を通して経験してきたことについてユーモアを交えつつ、非常に和やかでオープンな雰囲気で講義が進められました。
<ローカル都市経営に必要な要素>
さて、冒頭の問いですが、まちづくりの解は一つに限られません。そこに住んでいたり、働いている個人・経済活動をしている企業・誰にでも必要な公共サービスを提供している自治体など、様々なアプローチが可能です。ただ、視点が多すぎてよく分からない、という人もいるかもしれません。
講義では、5つの要素がローカル都市経営のキーワードとして挙げられました。
①専門家からなる、イノベーションを推進する組織づくり
②都市(商品)開発:住みたい・魅力的なまちをつくる
③市場開発:在住・在勤でないまちの関係人口の開拓、近隣都市とのパートナーシップ構築
④事業開発:既存企業に対するカスタマーサービス・スタートアップ支援・規制緩和・企業誘致)
⑤人材開発:地元企業が必要としている人材の育成、誘致
山崎さんは、特に①の組織づくりが重要と言います。まずローカル都市経営に携わる組織がどのようなまちにしていきたいかについて明確なビジョンを掲げ、専門家を集めることが不可欠とのこと。メンバーは行政職員や建築家など、様々な背景を持った人たちが集まってくるので、それぞれの持ち味を活かしながら、一緒にありたいまちについて青写真を描いていくことがスタートです。コンセプトがないと立ち上げた施策もポジティブな影響力や継続性が薄くなってしまうため、多様な視点を取り入れながら目的を定めることは、まちでイノベーションを起こす上でのキーになるとのこと。未知なことに挑戦するからこそ、困難もたくさんある。だからこそ、関わる私たちは何のために行動を起こしているのか、原点を共有することが大切なのです。
今回、受講生はまちづくりに携わる行政職員や建築家、会社経営者、パラレルワーク、フリーランスなど職業も年代も多様な方たちが集いました。中には遠方からご参加の方もいらっしゃり、活発に質問や議論が行われました。ローカルの経済的な発展、過疎化したまちを元気にしたい、自分らしい豊かさをローカルの暮らしで実践していきたいなど動機は様々ですが、初回から皆さんの熱気が伝わり、これからの展開にワクワクしています。
(2019.12.17 ローカル都市経営学第1回 講義レポート)
自由大学インターン 村田 知理