地域経済開発の基礎と手法
・そもそも地域経済開発ってなに? それはまちの未来への投資
・まちは少しづつでも発展するか、衰退していくかのどちらかしかない。どちらを選ぶかはそのまちの自由。
・地域経済の現状が分かるデータ集積とアセスメントツール
・アセットマッピングでまちの魅力を
・何を生かし何を変えなくてはいけないかを見分ける
新講義
住みたいまちをデザインする。次世代リーダーのための革新的なまちづくりの手法と実践
「全米一住みたい街」と称され、世界中から注目を集めるオレゴン州ポートランド。たった数十年前は、木材、鮭、毛皮を売るくらいしか産業のない「とにかく生き残ること」が目標の小さなまちでした。
教授を務めるのは、著書『ポートランド 世界で一番住みたい街をつくる』等で知られる山﨑満広さん。ポートランド市開発局で培った「革新的なまちづくりの手法」を、日本のローカルを元気にしたい次世代リーダーたちと学び実践します。
ローカル経済を進化させるのは、地域に根ざした仕事
国からの予算に頼る自治体主導のまちづくり。
いつの間にか建つ、真新しい公共施設。
どう見てもうまくいっているように見えない取り組みの数々。
役所の予算と人材不足…… などなど。
ラグビーワールドカップ、東京オリンピックなど一過性のインバウンドで盛り上がるものの、それが本当に地方の経済に役立っているかといえば、結局のところ一時的な盛り上がりで終わっています。とにかく課題ばかりが山積みで、どこから手をつけてよいか分からないのが現状ではないでしょうか。
また「地域おこし」「まちづくり」「地方創生」これらは行政の仕事と思っている人が多いようですが、本当にそうでしょうか。それで良いのでしょうか。
ローカル経済を盛り上げる一番の特効薬は、その地域に根差した仕事を増やすことです。その仕事が生み出した価値が地域の外で喜ばれ、外のお金を稼げれば地域の経済が潤う。そのお金が地元のお店で使われれば、プラスの循環が生まれる。そうして少しづつみんなの給料が増えれば、町全体が潤っていきます。
地方にありがちな大きな工場や大企業の支店への依存を少しづつ減らし、地元が本社の小企業をたくさん作れれば、ローカル経済だってゆっくりとだけど進化できます。
地域の未来は、民間のわたしたちがつくる
しかし、そんな仕事や生業は、行政任せではつくれません。行政機関は地元から上がってくる、すでに地域内にあるお金(税金)で公共サービスを提供するのが本業です。外貨を稼ぐのには向いてないし、そもそもそんな専門スキルのある人材はいません。だから民間事業者(またはこれから事業を起こしたいあなた!)が事業を伸ばし、じっくりと地元の雇用を増やしていくしかないのです。
ただ、いち事業者ではかなり厳しいのは事実。だから町おこしとか「街を変えたい」という目標を共有した複数の経営者が集まって、そのまちの長期的な行く末をイメージして言葉にし、描き、具現化するために一肌も二肌も脱がなくてはなりません。
ただ、そこには地域経済開発や都市経営のノウハウが要る
そうしてできた地元の仕事は、都会の給料に比べればそれほど高くないかもしれません。でもその仕事は地域の生活を支え、高い確率で地域に還元され、また誰かの給料となり、その人の子供や家族の習い事や生活用品、つまりは営みへと生まれ変わるのです。
言い換えれば、それはまちの未来への投資。そこからうまれたプラスの循環はまちの新たなエネルギーとなり、世代を超えて生業を支え、いずれは地元の文化を育てることにも繋がります。
「本当にそんなにうまくいくかな?」と疑う人も多いでしょう。もちろん消費型経済から循環型経済へのシフトは簡単ではないし、時間もかかります。とはいえローカル経済が生き残るためには、今シフトしないと手遅れになることも多いわけで、先延ばしにもできません。シフトするには「行政からの協力」や「市民の参加」も不可欠ですが、何よりこの長期的な取り組みにコミットする「地元民間事業者のリーダーシップ」が必要となるのです。
あなたにそのコミットメントがあるでしょうか?
大勢で工夫して知恵を出し合って作ったローカルの仕組みは本物です。どこかのまちからコピーしてきたバッタものではありません。そんなリアルローカル経済の作り方、続け方を学び実行してみませんか?
<参考> 山崎満広さんのインタビュー記事など
・地域にお金を回すために必要なことって?
・日本とポートランドのエリアリノベーション
・グリーン先進都市、米国ポートランドから学ぶ地方創生
・著書『ポートランド 世界で一番住みたい街をつくる』を読んできてもらえると理解が深まります。
(第1期募集開始日:2019年11月17日)
第1回
・そもそも地域経済開発ってなに? それはまちの未来への投資
・まちは少しづつでも発展するか、衰退していくかのどちらかしかない。どちらを選ぶかはそのまちの自由。
・地域経済の現状が分かるデータ集積とアセスメントツール
・アセットマッピングでまちの魅力を
・何を生かし何を変えなくてはいけないかを見分ける
第2回
・ 官民連携(パートナーシップ)で経済開発に長期的にコミットできる組織 をつくる
・組織のミッションで揺るぎないまちのプレーヤーとなる
・行政とのちょうど良い距離感と保ち、明確な役割分担を決める
・多種多様なプレーヤーを集め、まちのビジョンをつくろう(既にある場合は、それが現在にも有効か議論してみよう)
・専門的能力を身につける、呼び込む
・長期的な経済開発戦略と財政計画をつくろう
第3回
・まちを商品と見立て、どう企画、開発するか(何を残し、何を変えるべきか)を見極める。
・誰のために街をよくすべきか?(住民が幸せなまちに人は集まる)
・地元企業がまちの現状に満足しているか?
・企業が成長するために必要な物。(人材と教育、インフラ、まちのアメニティ、不動産、地元企業との強い絆)
・いろんなお金の作り方、使い方(何が未来への投資になるのか)
第4回
・ハッピーな地元企業は、まちの広告塔
・地元産業の多様化支援 (既存事業のイノベーション)
・地元発ベンチャーのスタートアップ支援(まちがベンチャーのラボになりうる)
・地元企業の戦略的パートナーの発掘と誘致
・ターゲット産業分析と戦略づくり
第5回
・まちのブランド作りとマーケティング(誰をターゲットにするか。どんなストーリーどのように伝えるか)
・地元企業が必要としている人材と、学校のカリキュラムのギャップを埋めよう
・関係人口の増やし方〜世界中の人が日本に住みたがっている
・観光(インバウンド)開発をまちづくりの主軸にしてはいけない理由。
・若者が求める地方の未来を考える。