講義レポート

商品開発としてのまちづくり

ローカル都市経営学 第3回 講義レポート

講義後に簡単に懇親会。横のつながりも大切。

 

誰に、どのような想いを持ってまちに住んでほしいのか、それを考える過程は商品づくりでもあります。今回、ポートランドのまちづくりの変容を学びながら、住みたいと思うまちづくりとは?それに対して必要なことは何か、等をテーマに活発に議論がなされました。

 

住みたいまちをデザインすること

「あなたは何を基準に住みたい街を選びますか?」 皆さんがこう聞かれたらどう答えるでしょうか。交通手段のアクセスの良さ、緑豊かな自然環境、あるいは子育てが安心してできる場所…。様々な意見が出るのではないかと思います。

住みたいまちに挙がる要素は、実はまちに解決が必要な問題だったり、潜在的なニーズになってきます。自分たちが住むという時にどのような暮らしを実現したいかを具現化しながらデザインしていくことが大切になってきます。人々がそのまちで求める期待や体験とまちが本来持っている個性を掛け合わせる過程が例えると商品開発となり、社会に対してブランドとして価値を示していきます。

 

まちづくりの課題を自分ごと化し、合意形成する

50年前のポートランドは川が汚染され、全米で一番汚い街でした。当時のアイゼンハワー大統領による州間高速道路の整備によって徐々に人の仕事や暮らしが郊外に移っていき、中心部は郊外にある工場の影響で空気が汚染され、次第に荒廃していきました。

また、日常的に人が集まらないため経済活動は衰え、犯罪率も上昇するという問題も発生していました。当時環境アクティビストとして活動していた後のポートランド市長は、中心部の経済を復興させるには環境を改善させることに着目し、市長に当選後は州政府と連携しながら環境都市としての改革を進めました。郊外に自宅を構えて大型スーパーまで車で移動し、買い物やレジャーを無機質な空間の中で済ませるのではなく、住まいと仕事・遊びがまちの通りで営まれることで人々の賑わいと経済の活性化に繋がると考えたのです。

90年代以降は「エコ・ディストリクト」として更に環境都市として発展していきますが、意思決定は行政だけでなく、地区ごとに住民主体でまちづくりについて考える組織「ネイバーフッドアソシエーション」を結成し、官民共同で連携しながら推進されていきます。大切にしたい価値・ブランドは何かを官民双方の立場から棚卸しし、時には資金調達やイベント開催を実施しながら草の根レベルで実現していく仕組みがポートランドの都市経営の特徴です。

山崎さんはまちづくりには「6つの目標」、「連続性・連結性・地域の特徴・コミュニティ・居心地の良さ・文化」を考えることが必要だと話しています。もともと文化としてまちが持っている個性や文脈を尊重しながら、働き手や住民等、それぞれの立ち位置から大切にしたい価値観は何か・ビジョンを実現していくことです。

ただ、根本の文化やガバナンス・インフラを再構築することになるため、早く思っていた結果が実現するわけではありません。中長期的な変化の時間軸を認識しながら、市民として関わる私たちが現状打破に対するアイデアや多様なステークホルダーとの合意形成等の基盤を培うことが必要です。

 

TEXT:村田知理(自由大学インターン)



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