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クリエイティブチーム座談会「けもの道をゆく」 2016

クリエイティブチームが考えていることあれこれ(3/3)

自由大学を運営するクリエイティブチームが考えていることは? 2016年のテーマ「GOOD VIBESでいこう」につながる6名(岡島悦代、和泉里佳、花村えみ、岩井謙介、増田早希子、佐藤大智)の話を聞きました。最終回は学びの場のデザインについてです。
(ライター:新井優佑)

けもの道をゆく

学びの「場のデザイン」とは

岡島:実際、自由大学の講義づくりもそういうイメージを持って進めてるよね。昨日「魅せる!映像学」をつくっていて改めておもったけど、学びのキュレーターは学びをつくるっていう視点を持っているから、教授たちが持つTIPSをただ教えるのではなく、受講生に見つけてもらう仕掛けづくりを意識できてるんじゃないかな。そんな「主体的になるスイッチ」を押そうと、ずっと意識してきたのが里佳さんだと思う。里佳さんは今、子育てをしているけど、そこでも工夫をしているんじゃないかって私は見てるんだけど。

和泉: 子どもが靴下を履くにも20分かけたりしてるからね。できないって怒って泣くから、手伝おうとしてみたら手伝わないでって返されることを延々と繰り返してるよ(笑)。今のわたしの課題は、どうやったら手伝ったことを気づかれないようにして手伝うかっていうことかな。子どもを見ていると、やっぱり人の根源的な欲求として「自分で何かやりたい」ってことがあることに気づくんだよね。みんな何かに飽き足らず、だから自由大学に来るわけだし、やっぱりそれって共通してるよね。

岡島:自由大学に対して、一方では「資格を持っていない人が教えていたり、正解がないものにお金払うの?」って意見も聞こえてくることがある。でも実際はそうじゃなくて、人が主体的になる場のデザインを意識的に仕掛けてる。だから6年間、続けてこられていて、2016年は、そんな場のデザインも伝えていきたいかな。

和泉:でも、それって自分たちで言うのは恥ずかしいよ。

岡島:だよね。だから、客観的にだれかこの面白さを伝えてほしいな。

和泉:出番、出番(笑)。

新井:ぼくの出番ですね(笑)。

和泉: それが伝えられたら、さっきえみちゃんが言っていたような「共有」「共感」みたいな「講義できたね。よかったね。終わってからも仲良くしよう」っていうところからもう一歩抜き出せるのかもしれないね。

岡島:そうそう。たぶん、それが社会的な接点を持って価値を生むっていうところにもつながってくると思うんですよ。

和泉:そんな場のデザインを伝えることもしていきながら、でも、できることなら、受ける人がそれを読んで「自由大学って、こういうところなんだ」ってある種の答えをつくってくるわけじゃない場にしたいよね。キュレーターの手で全部それが本人の知らないうちに体現されていて、みんなが勝手にそんな気持ちになっていく場になったら最高。

座談会後の風景。普段はこの部屋で仕事をしています。

座談会後の風景。普段はこの部屋で仕事をしています。

花村:みんな、わざわざ自分で来る場所だから、最高にしたいよね。

佐藤:そうですよね。地方から通う方もいるし。

和泉:誰かが怒るわけでもないし、仕事でもないのに、徹夜して宿題をしてくるような面白さがここにはあるよね。

岡島:自由大学って最後にアウトプットするじゃない? 学んだらどうなるかって。それがハードルになって、最後休んじゃう人もいるけど、アウトプットする苦しみの過程で自分がもっと経験したいことに気づいたり、新しく情報を集めるきっかけができたりする。わたしは前職で制作を経験してきたから、そういうことを繰り返してきたけど、他の職種だとなかなか体験できないことなのかもしれない。だから、どんどんチャレンジしてほしいよね。

和泉:仕事でもないし、命がかかってるわけでもないけど、どんなクオリティでもいいからプレゼンテーションするといいんじゃないかな。唯一の正解的なプレゼンだけが最後のアウトプットじゃないし。

岡島:よく黒崎さんが「プレゼンテーションはプレゼンスだから、存在を示そう」っていうけど、課題通りに正解を当てにこなくていいんだよね。以前「キュレーション学」ではボサノバをかけて踊りながら自分を説明した人がいたな。

花村:自分はこうだから、みんな煮るなり焼くなり好きにしてくれってことだよね。

佐藤:それってすごく印象に残りますね。

和泉:「わたし、プレゼンできません」って思ってしまう場合もあるかもしれないけど、どういう気持ちでそれを始めたいと思ったか、これから先に何をやってみたいか、そういうことでもいいから自由にスピーチできるといいよね。クリエイティブチームとしても、畑を耕す以上はそんなふうにスイッチを押すことで視野が広がるようなことを生み出していきたいね。

花村:生むってことは育てるってことだもんね。

岡島:いかに人が踊れる場をつくるか(笑)。

岩井:そして、自分が踊り続けることも大事。ぼく自身、2012年から踊り続けてきて、それを実感します。

佐藤:北欧について発信し続けたこと?

岩井:そうそう。踊っていたから次のステップを踏み出せていった。

Nordic Lifestyle Market

岩井くんが企画メンバーとして参加した「Nordic Lifestyle Market」@国連大学前ファーマーズマーケット

花村:踊っているのといないのとでは、一歩の踏み出しやすさが違うよね。わたし、ダンスをずっとやってきたから、なんかわかるな。

岩井:ぼくもサッカーを続けてきたので、わかるんです。

和泉:じゃあ、来年の裏テーマは「踊り続けろ」かな?(笑)。

「けもの道をゆく 2016」おしまい!

いかがでしたか? 2016年に向けて、どんどんパブリックになっていく自由大学の「学び」が伝わっていたら嬉しいです。みなさんも、自由大学と一緒に2016年をGOOD VIBESで進みましょう!

 

【NY支部長の小酒より】
NY支部長の小酒です。クリエイティブチーム日記などでたまに登場しています。2015年6月に渡米して、8月に出産。あっという間の1年でした。2015年はクリエイティブチームのメンバーががらりと変わって、けもの道にもクリエイティブチームに入ることになったきっかけが語られてたりしました。

昨年出来た新講義は卒業生が教授になったものも多かったり、定番講義も卒業生が2代目キュレーターとして活躍したりすることが多かったのも今年の特徴かなと思います。踊る仲間はすでに増えつつある。個人的な経験の積み重ねの中に普遍性が生まれる。そのVIBESを受け取った人たちの環が社会を変えていくのかもね。

【けもの道を行く 2016】
1.2015年に一皮向けたこと
2.社会とつながる入り口になるキーワードとは
3.学びの「場のデザイン」とは



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