講義レポート

震災に向き合うことから始めてみる

「東北復興学」1期 講義レポート

これから、東北とどう向き合うかを考え、実際に行動する「東北復興学」。受講生の渡部美香さんがレポートを書いてくださいました。

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私は福島県の会津出身です。大学へ進学するまでの18年間、会津の山の中で生活をし、東京に出てきて10年近く経つ今でも、私の心はずっと福島県民で、いつも心に留めてある大切な場所です。
地震が起きた後は大好きな故郷の悲惨な姿を見たくなくて、目をそらしてきたように感じます。心配する気持ちはあっても、何も出来ずにいました。そして震災から一年が経ち、東京で暮らす私たちの生活はすっかり元通りになりました。地震後は東京も混乱していたし、日常に戻ることは良いことだけれども、このまま人々は、というか私が被災地のことを忘れてしまうのではないかと怖くなりました。

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そんなモヤモヤした気持ちでいた時に偶然見つけた「東北復興学」の受講案内の中の対象者に「モヤモヤしている人」というキーワードが! これはまさしく私のことでした。

真っ白な状態からあまり予備知識もなく受講に臨みました。全5回の講義でやはり衝撃的だったのが仙台・荒浜でのフィールドワーク。テレビでしか見たことのない被災地の光景を目の当たりにしてただ立ち尽くすばかり…。こんな大きな被害があり場所で私たちに何ができるのか、その土地で暮らす人々から何を求められているのか、余計にモヤモヤしてしまったのが正直な気持ちでした。荒浜から戻ってきてからの講義では、みなで考えを共有し、自分の気持ちを整理していきました。復興のために出来ることを模索して、本当に様々な意見が飛び交いました。

実際に活動を被災地で行う方々の厳しいお話を聞いて耳が痛い時間もありました。でも、理想を語るだけではうまくいかない、という復興を考える上で大切なことを知る、とても必要な講義だった思います。教授である大内さんの、誰の意見も否定せず、それぞれの良いポイントを拾い上げていくスタイルは「復興」というデリケートな題材を扱うのにとてもありがたかったし、皆の素直な意見が言いやすい雰囲気になったと思います。

講義を終えて感じたのは、人の数だけその人が思う「復興」があるということ。だけど、スタイルは違うかもしれないけど最終的なゴールは一緒で、東北の人々の笑顔を望んでいるということ。そんな気持ちを熱く持っている人達で出会えたことが大きな収穫でした。講義の終わりに皆が口ぐちに言っていたけれど、これで終わりではなく始まりだと思います。ずっと震災から逃げて自信が持てなかった私も、講義を受講したことで自信をもって震災を精一杯考えたと言えるようになったと思います。

私の復興は始まったばかり、その一歩を東北復興学で踏み出せたと感じています。



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