講義レポート

大人になったからこその 遊び心とくずし文字

「もう一度、書道」講義レポート

「くずし文字で好きな言葉を書いてみよう!書道一日ワークショップ」

今日はいろいろある書体の中でも行書・草書と呼ばれるくずし文字にスポットをあてて、一人一人、好きな言葉や名前を書いてみようというワークショップです。楷書(私たちが学校の習字の時間に習った文字ですね)で書くと一度筆を止めるところを、くずし文字は止めない。そこには画数の概念がなくなってしまった新鮮な文字の世界が広がります。

書の成り立ち、基本の道具の扱い、を丁寧に教えてもらった後は、実際に書いてみようという時間です。自分の書きたい文字を字典をつかって調べ、くずし文字のお手本にします。最初は恐る恐る書いていたのですが次第にスピードが速まります。始め出すと楽しくて楽しくて、あっという間にみんなで用意していた半紙を使い切ってしまいました。

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楷書が完全に上手くなってからじゃないとくずし文字って書いてはいけないイメージを持っていませんか?でもそんなことを言っていたらどんどん書が遠いものになっていきます。書はもともと日常に寄り添ったものであり、表現の場であり身近な芸術だったはず。肩肘はらずもっと自由に書を愉しむ機会があってもいいのではないでしょうか。

硯に向き合って墨をすり、心を鎮めてみること。確かにいまの私には書は「静」に入る手段でもあります。でも「もう一度、書道」教授の平野燿華さんは書を「動」の状態の時に感情をぶつけるような思いで書くのだとか。感激している時、悶々した気持ち、やるせない思い、それを自由に解き放つ。そうか、そんなに書は躍動的でいいし「動」的な場所でもいいのか。新しい書への向き合い方が増えた瞬間でもありました。

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(TEXT: 「もう一度、書道」キュレーター花村えみ)



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