講義レポート

想像力と五感をひらくナイトウォーク

キャンプ in 仙台 活動レポート

シリーズでお届けしている学びと復興支援「キャンプin仙台」のレポート。前回の「仙台ごはん、宮城ごはん」に続き、今回はサポートスタッフの立花香澄さんが「秋のナイトウォーク」についてレポートしてくださいました。

今回訪れたのは、7月に続き2回目。前回津波を一番初めに実感させられた、バスを降りてすぐに鼻を突いた潮の香りは、秋の夜の匂いでかき消されるくらいに薄くなりました。今回は夜の仙台を車で走り抜け、夜のナイトウォークの途中からの参加となりました。そのナイトウォークについてレポートしたいと思います。
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昔から好きだった小説が映画化された際に、こんなキャッチコピーがついていました。「みんなで夜歩く。ただそれだけなのに、どうしてこんなに特別なんだろう」シーンも目的も、小説とは全く違う荒浜ナイトウォークですが、そこに含まれる”特別”の感覚は同じような気がしています。


月明かりに照らされた街を、海に向かってただ歩く。
夜って不思議です。視界が悪くなる分、その他の器官が敏感になるのでしょうか。音に敏感になり、五感が開く感じ。見えないものが多くなる分、思考が澄んでくるような気がします。
夜に被災地を歩くことで、昼間には感じられないなにかをそれぞれが感じられたらいい。そんな思いで企画されたナイトウォーク。
しかし津波にのまれた街だとわかっていても、想像力を働かせていないとただの遺跡のように映ってしまう場所でもあります。特に海岸沿いの住宅街だった場所は、不適切な言葉かもしれませんが、完成された遺跡のようにインパクトが強い光景が広がります。
そんな中を、みんなで同じ道を歩きました。道中あちこちでぼそぼそと続いていたしゃべり声も、海の潮騒が近づくにつれ静かになりました。戻ってからのディスカッションの中で、「気持ちの問題かもしれないけれど、あそこで聞く波の音はすごく大きく感じた」とおっしゃっていた方もいらっしゃり、それぞれがそれぞれの感じ方で歩けたことを感じました。
歩く。そのあとにそれぞれが感じたことを話し合う。それをあえて夜に行うことで、絆も強まり、特別な時間になったと思います。
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前回から2か月を経て、海の近くで傾いたままだったかわいいおうちはなくなり、立ち入り禁止のテープが各所に増えました。海岸から見えた、車どおりのない道路に沿って配置されていた赤いランプは見当たらなくなり、代わりに道路の位置を主張するように走る車が増えました。
7月に訪れた時から、増えたもの、減ったもの。実際荒浜に住んでいた方々から見てどう映るのかはわかりません。しかし私の目から見れば多くは、少しずつ前に進んでいるが故の変化だったように思えました。
1、2か月に1回のペースで訪れるということ。住んでいては気づかない、訪れなかったら絶対感じられない、そんな変化に一番敏感になれるタイミングなのかも、と思っています。そんな私たちにできること。ここからまた、真剣に考えていきたいです。



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