~森民酒造 中坪優作さんのお話~
シリーズでお届けしているサマーキャンプin仙台のレポート、第4弾今日のテーマは「仙台の酒造り」についてお送りします。
こんにちは、入門日本酒学キュレーターの小酒です。
今回は、『入門日本酒学in仙台』ということで、仙台市内で唯一の酒蔵、森民酒造の中坪さんにお越しいただき、現地で仙台の酒造りの歴史や、日本酒の製造工程などについてお聞きしました。その様子をレポートします。
■仙台の酒造りの歴史
仙台での酒造りの歴史は約400年ほど。食に深い関心を注いだと言われる伊達正宗が仙台へ杜氏を呼び寄せ、酒を造らせたのが始まりとされています。京都伏見では鎌倉時代から造り酒屋が発達されたとされていることを考えると、酒造りの歴史の中では、仙台の酒は比較的新しいということになります。
森民酒造さん自身は、岩手県より仙台にやってきた、初代森民蔵(もりたみぞう)氏が1849年、今から約160年前に設立された蔵です。森民酒造さんのある荒町一体が、非常にきれいな水が沸くことで評判で、この地に蔵を作ることを決めたそうです。
蔵ができた当時約30ほどあったという仙台市内の酒蔵も、いまでは森民酒造さん一つのみ。森民酒造さんでは新しい販路の開拓や、仙台の米を使った酒など、伝統を守りながら日本酒を次世代に伝えていくために様々な取り組みをされているそうです。
■日本酒とワインとの違い
当日は仙台の酒造りの歴史のほか、日本酒の製造方法についても教えていただきました。たとえば、日本酒とワインの違い。日本酒もワインも醸造酒という点では同じですが、製造方法では大きく異なります。
まず発酵方法。
日本酒の原料である米は、ブドウと違って、米だけでは発酵することができません。麹(こうじ)を蒸米にかけることによって、麹菌が米に付着し、米のデンプンを糖分に変えてくれるのです。
そして、日本酒の製造工程には「精米」という工程があります。
日本酒を醸造するときには精米を行い、胚芽や外側に多く含まれるたんぱく質、脂質、灰分、ビタミンなどを取り除かないと、発酵がうまく行われず、おいしいお酒をつくることができません。今回は実際に精米した米を見せてもらいましたが、普段食べている米のような白い部分がなく、全体が透き通ったキレイなお米になっていました。
大吟醸と呼ばれるお酒は、米を50%、つまり半分も削ってしまうと言いますから、日本酒はなんとも贅沢なお酒ですね。米を削り、米を蒸し、麹を掛けて・・・これだけ聞いても酒造りがいかに手間と技術のいるものかが分かります。日本の大事な食文化、守っていきたいですね。
■『仙台物語』を味わう
また、日本酒とワインの違いの一つに原料の仕入れ方があります。
ワインではワイナリー自身がブドウを育てることが普通かもしれませんが、日本酒蔵は自分で米を育てることはしません。農家が育てた米を買い入れて酒をつくるわけですが、他県で造られた米から日本酒を造ることもよくあります。
最近では各県で日本酒用の米を育てることも多くなってきましたが、今回、森民酒造さんにお持ちいただいたお酒、「仙台物語」もそんな日本酒の一つ。お米も蔵の近くで育てられた地元のお米を使用しているそうです。
参加メンバーにも大人気で、仙台味噌を野菜につけながらおいしくいただきました。
今度仙台でキャンプをする際には、ぜひ蔵の方に伺ってお話を聞いてみたいと思います。