講義レポート

今と昔。自給的な暮らしを考える

教授コラム 地球に暮らす自給学 あべゆか

地球に暮らす自給学 あべゆか コラム

 

 

先日、新しいiPhoneが発売されましたね。たった数年でどんどん技術が進歩する現代、これからの暮らしはどうなっていくのだろう…と考えることがよくあります。

会社に就職して、勤務時間は働いて、週末は趣味を楽しむ。

自分の時間を売ってお金を得る、というサラリーマンのアタリマエが、
「お金がある=安心して暮らしていける」
というアタリマエの上に成り立っているということに、気づいたのはある本に出会ったことがきっかけでした。

お金を得るから安心するのではなく、お金を使って得たいモノを得ることができるから安心して暮らしていくことができます。
では、お金を介さなくても、得たいモノ、つまり暮らしに必要なものを得ることができるとしたら、お金は思っている以上に、豊かな暮らしを手に入れるためには「必須ではない」のかもしれません。

しかし、そのためには、お金を使わない代わりに、自分の時間、知識や技術、同じ思いを持つ仲間とのつながりなど、別のものが必要になってきます。
私はその本に出会った数カ月後、その本の著者に会いに行きました。
そしてそのまた数カ月後には、一年間住み込みで自給自足的な暮らしの修行をすることになるのですが、そこでの体験は驚きの連続でした。

軽トラ、パワーショベル、草刈り機、チェーンソーなど、
暮らしの道具を使いこなすことはもちろん、家の構造や建築、エコなエネルギー、自給畑や保存食…。
暮らしを自分でつくるとなれば、その範囲の広さはとても一人ではやりきれません。
まさに、昔の私たちの先祖が家族で暮らしの仕事を分担し、集落全体で助け合って暮らしてきた暮らしのかたちが自然とともに暮らすために最適のかたちであったことに気づかされます。

お金があっても、自然の資源がなければ豊かなくらしはできません。
自然の資源があっても、それを活かす知恵と、技術と、活かすための多くの時間がなければ、暮らしをつくっていくことはできません。
そうやって私たちの祖先が汗水流して作り上げてきてくれた、みんなが幸せに生きるための文明は、いま、分業化、効率化が進み、昔のようにみんなが力を合わせなくても、お金があれば豊かな暮らしを送ることができるようになりました。

極度に便利になった社会で、改めて今、キャンプを筆頭にアウトドアブーム、自分で材料や工具を揃えてつくるDIYブーム、その「不便さ」が見直されているのは、本当に豊かな暮らしを求めて、離れすぎてしまった自然との距離が見直されているからではないでしょうか。
あなたにとっての、理想の暮らしは、どんな暮らしですか。

【影響を受けた本】
月三万円ビジネス 藤村靖之著
暮らしの自給力を高めて支出を下げ、またその過程で積み重ねた自給の知識・技術で月三万円のスモールビジネスをいくつか持つというライフスタイルを提案する本。本当の豊かさとは、お金をたくさん持っていることではなく、自分や仲間とでつくり出すものということを考えさせてくれる一冊。いろいろなスモールビジネスの事例も載っているので、やってみたいコトが見つかるかもしれません。

TEXT:教授  あべゆか

担当講義:  地球に暮らす自給学



関連する講義


関連するレポート