講義レポート

「自給学で何が変わった?」受講メンバーの本音にせまる

「地球に暮らす自給学」第5期 講義レポートPART1

地球に暮らす自給学第5期座学風景

こんにちは、キュレーターの藤田です。さて「地球に暮らす自給学」第5期が終了したので、レポートしますね。今回もさまざまな背景をもったメンバーが集まりました。

 

例えば、

・バリバリと都心で働いているが、激務すぎて今の働き方を変えようとしている人

・大手IT企業に勤務しているが、実生活ではもっと土や自然など実態のあるものに触れたくなった。リモートワークで家時間が増え、自給暮らしへの関心につながった人

・すでに家庭菜園は始めているが、もう少し土地の広い場所に引越し、本格的に農的暮らしにシフトする足がかりを探している人

・ハンドメイド作品を作ったり、コーヒー豆を挽いたり、自分で作ることに興味がある人

などなど、主に食、住、エネルギーの自給に興味があるメンバーが集まりました。「お金がないと生きていけない」と不安になりがちな時代です。一番お金のかかる上記3つが半分くらいでも自給できたら、心が元気になるはず。

今回は受講を終えたばかりのメンバーに、感想をインタビューしてみました。吉田尚弘さんは、家の近くのレンタル菜園を借りようとしているタイミングで、この講義を知り参加を決めました。

 

⚫︎吉田さん、まずは率直に講義後の感想を。どうぞ本音で答えてくださいね。

ビジネス研修、ITスキル研修などは多々受けてきましたが、ビジネスとは違う人間としての視野を広げるとても有意義な講義でした。特に人生の折り返し点をむかえるこの年だからこそ、会社以外の「暮らし方」にもっと目を向けるために必要な講義だとも感じました。

 

⚫︎印象に残っていることは?

金子勝彦さん(ゲスト/農家民宿「楽屋」店主)の懐の深さでしょうか。あべゆかさん(教授/自給暮らし研究家)は事前のガイダンス動画で人柄の良さがにじみ出ており、現実も想像通りの方でした。金子さんは事前に調べておかなかったこともあり、農業をしている人はもっとストイックでとっつきにくい方が来られるのでは?と想像していたのです。実際はまったく逆で、噛めば嚙むほど味のでる、人との対話を楽しまれ、自分の持っている情報を惜しみなく提供できる素晴らしい方だと思いました。

金子勝彦さん(ゲスト/農家民宿「楽屋」店主)

金子勝彦さん(ゲスト/農家民宿「楽屋」店主)

 

あべゆかさん(教授/自給暮らし研究家)

あべゆかさん(教授/自給暮らし研究家)

 

⚫︎座学と現地でのフィールドワークがありましたが

座学ももちろん学びになりましたが、何せフィールドワークのインパクトが強かったです。みんなで玉ねぎ、にんにくを干せる状態まで無心で作業したり、カレーやナンを作ったりと、全員が一つのチームとなって協力して成し遂げていく。あの達成感でしょうか

たまねぎやにんにくをむく作業

雨の日だったので軒下でたまねぎやにんにくをむく作業も体験

 

雨の中自分たちで収穫したばかりの新鮮野菜が美しい

雨の中自分たちで収穫したばかりの新鮮野菜が美しい

うまくタンドール窯に付くかな?

うまくタンドール窯に付くかな?

ナン

畑で採れた小麦を使ったナンを、タンドール窯。薪、炭、のエネルギーを利用して、自給率高めのごはん時間を体験

 

⚫︎「自給自足」というと孤高の人の思い込みがありますが、実際は助け合いながら成り立つ暮らしなんですよね。吉田さんは、「みんなで作業して食卓を囲むのが楽しい」としきりに言ってましたね。

そう、こんなに「みんなで」が楽しいとは! あと単純作業は大変そうに思っていましたが、意外に無心になり、没入感を味わえて、何かとてもすっきりした感じを覚えました。ビジネスでは常にリスクと向かい合っている場面が多く、不健康な精神状態だと感じますが、今回の体験は真逆のとても気持ちのよい汗をかいた感じがしました。

雨を忘れて、ハーブを収穫

雨を忘れて、ハーブを収穫

畑で多種多様なサラダ用のレタスたちを収穫

さあ、ランチの準備だ!

 

⚫︎土に触れたり、手を動かし何かを作ったり。どんどん健康になって、なおかつ美味しい物が食べられる暮らし。いいですよね。

あとは意識的にも、農的暮らしに対するどこか偏見じみたものがなくなりました。もともと、おじいちゃんおばあちゃんが畑仕事をしていた中で、小学校低学年の頃はちょっとした手伝いもした記憶があります。でも中学以降からだんだんと農業に対する意識が薄れ、この講義前までもどこか「自分とは縁のないもの」と思っていました。

それが、講義を終えた今では畑に定期的に通うようになったのも、小さい時の原体験があったからこそ、畑に関係するルーツに戻ってきたような感じさえしております。

「仕事」として考えても、農業は素晴らしい職場でもあると感じました。本気で仕事にするなら知識やスキルはもちろん必要ですが、初心者も気軽にできる範囲でお手伝いできることがあり、触れ合うことができる。

 

農薬不使用、無化学肥料で農産物たち

農薬不使用、無化学肥料で農産物たちは、雑草と共存。全部食べれそう。

 

⚫︎そうですね、これがITの仕事だったらそうはいかない。家族や仲間に気軽に「ちょっと手伝って。一緒に収穫しない?」とは言えないですね。「一緒にバグ取りしない?」とか難しい(笑)

自然が人を育てる。自然から学ぶことも大きいでしょうね。もちろん農業をやっているから、金子さんやあべさんのような人間味あふれる人ができあがるのではなく、これまでの諸々の経験すべてが合わさって人間性は作られたんだろうなとは思っております。

最終講義後、あべさんと金子さんが大切に育てた野菜をみんなで調理してモリモリ美味しくいただきました。

最終講義後、あべさんと金子さんが大切に育てた野菜をみんなで調理してモリモリ美味しくいただきました。

⚫︎「農的暮らし」「食」以外のテーマではいかがですか?

農業ばかりではなく、住まい、電気、さまざまな自給の在り方を身近に感じることができました。消費するだけでない方法のイメージが湧きました。今後、ひとつずつ積極的に自給率を上げていく姿勢でいます。

家庭菜園でも自分でつくるようになると「食材の無駄をいかに減らせるか」を意識するようになりましたね。

 

⚫︎最後に、今後のアクションを一言

今は始めた畑をしっかり継続することが目標です。平日はほぼ仕事に意識がむいていますが、もっと新しい暮らし方にも好奇心を向けていきたい。この講義を機に、余裕をもった人生を歩んでいきたいと思うようになりました。

 

>PART2に続く(近日公開)



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