私はもともと薬膳料理などに興味がありましたが、他にもお酒のクラフトジンを飲み比べる事にはまっていました。
ジンはジュニパーベリーを使用していれば、ほかはどのようなボタニカルを使用してもよいという比較的自由なお酒です。その為土地や作り手によって味が変化し、日本のものだと玉露や柚子、桜の葉を使用していたりします。
種類は違いますが、ハーブや薬草、そして飲み物として美味しく身体に取り入れるという共通点を感じ、ただ飲むだけでなく自分で作ってみたいと思い受講しました。
実際に講義が始まると、まず中医学をベースに季節に応じた身体の状態や養生を教えていただきます。
そして、早速次の講義から20種類のハーブのテイスティングがスタートしました。こんなにもたくさんのハーブを1度に飲み比べることがなく、また馴染みのあるカモミールなど以外にも白樺やマリーゴールド、またカレーでおなじみのフェンネル等が次々と登場し、こんなものまで!という発見の連続でした。
それら多様なハーブの味や香り、色を一つ一つ確かめていきます。先生はそれぞれが持つ効能を説明しながら「人それぞれ体質やその時の状態によって身体に良いものは違う」「自分が美味しいと感じるものは今自分が欲しているもの」ということを教えてくれました。
そのことを念頭に置きながらテイスティングを進めると、不思議なことにスッと身体に入っていくようで美味しいと感じるものから、少し引っかかるようなものもありました。誰かの意見や感想を引っ張ってくるのではなく、自分の舌の感覚を頼りに五感で味わう経験は以外と少なく、ハーブを通して自分と対話しているような感覚でした。
そうしてアイスとホット、2種類のブレンド茶を完成させていきます。ジンで使われているジュニパーベリーも用意してくださったので、それを基にブレンドを進めていきました。私は「夏の夕暮れに友達と涼みながら飲むお茶」というテーマで、清涼感を持たせつつどこか心が落ち着くようなブレンドを目指しました。
先生の意見も取り入れながら0.1g単位で調整を重ね、最終的には夕暮れ時のマジックアワーのような見た目で味も納得がいく素敵なブレンド茶が出来上がり、改めて自分の好きなものを再確認した気持ちでした。
他の受講生の方々も全く違うテイストのお茶を完成させており、それぞれの違いが視覚や味でも分かり楽しかったです。
初めて『ブレンド軸をつくる』と聞いた時は、何か確固とした揺るぎない自分の軸を作らなければならないのかと思っていました。
ただ、講義を通して自分の好きなものと向き合ったり、理想のブレンドを目指すためにハーブを追加したり削ったりとちょうどいい塩梅を探る中で気がついたことがあります。
軸とは新しく何かを身につけて確立させていくものではなく、もともとそこにある自分をハーブをとっかかりにして深掘りし、その中で発見していくものなのかもしれないということです。試行錯誤を重ねる中で何が必要であり、何が必要では無いかがうっすらではありますが分かってきたような気がしています。
また、教授は「自分で作るのはハードルが高いので、作ろうとしなくても選べるようになることが大事」ということもおっしゃっていました。
確かに普段の忙しない日々の中では中々時間を取ってブレンドしていくのは難しいですが、これを聞いてグッと身近になったような気がしますし、少し余裕がある時にはお茶を淹れながら少し立ち止まるのもいいな、とも思いました。
これからも飲み物として味わう楽しさだけでなく今の自分が欲している物を感じ、その時の自分に”ちょうどいい”ものを選び取るという意識を持っていきたいと思います。
TEXT:「MYブレンド茶をつくる」第6期受講生 榎本佳果さん