講義レポート

出会いはタイの古都チェンマイで

ヴィーガンベジタイ学 教授コラム 橋本加名子

長年タイやタイ料理の仕事に携わっていたけれど、ナムプラーを使わないタイ料理について、考えたことが無かったし、想像もしませんでした。

タイは国民の94%が仏教徒。男性は得を積むために人生に一度は僧侶になる国です。僧侶は基本的には殺生をしない食事、マンサウィラットというタイのベジタリアン食を摂っています。
タイの古都チェンマイで初めてマンサウィラットを食べたときは衝撃的でした。野菜だけの組み合わせでなんて美味しいのだろう。ナムプラーを使わなくてもタイ料理なんだ!

同時期に「ノーミートマンデー」の活動を知り、ベジタリアンについて興味が沸き起こりました。調べたり、研究したりの試行錯誤の日々。長く居る食の世界ですが、未開発な分野や知らないことがいっぱいあるのだとしみじみ思いました。
時間を見つけてはチェンマイの尊敬するベジタリアン料理家の元へ通い、テクニックは勿論、言葉にあらわせない理念も含んだマンサウィラットを学びました。(今も年に数回学んでいます。)

マンサウィラットは殺生をしないので、はちみつ、牛乳、バターを摂ることができますが、それでは動物性を全く摂らないヴィーガンの人達は食べられない。
大好きなタイ料理をもっとバリアフリーで、もっとボーダーレスでもっとヘルシーでもっと美味しく作りたいという願いから始まった「ベジタイ」。
追求しているうちに少しづつ新たな食の輪が広がり続けています。

食を中心に生活をしていると心も身体も調えられ、小さいことにくよくよしない前向きな姿勢で生きていくことが出来るのでは!?
「ベジタイ」がポジティブに生きていくきっかけになるでしょう。

【おすすめ本】
「わたしの台所」 沢村貞子

明治生まれの名脇役女優で、随筆家の作品。
自分の物差しを持って、毎日の三食のごはん、着るもの、掃除など日常を大切にしながら丁寧に生活している作者の姿勢に共感する。
自分の祖母と同じ位の年齢の明治生まれの方の生活に対する考えが全く古くさく無く、憧れを感じる。
日々忙しさに追われ、色々なことをないがしろにしている自分に喝を入れてくれ、初心に戻してくれる1冊。

text:教授  橋本加名子

担当講義: ヴィーガンベジタイ学



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