講義レポート

「響きあい、感じあう」

DIYミュージック教授コラム

もともと「場をつくること」「人と人・モノ・コトを繋いで科学変化を起こすこと」に興味があった私が、どうして気づいたら20年以上音楽に関わっているのかな、と時々考えることがあります。
それは多分、「場をつくること」「人と人・モノ・コトを繋いで科学変化を起こすこと」を実現していく媒介として、音楽が、人々を巻き込んで、いろんな分野との繋がりや関わりをつくりやすかったからかもしれません。大学の時、アーティスト兼キュレーターとして活躍している先輩を見て、「キュレーターになるより、キュレーションもやるアーティストになっちゃった方が、楽しそうだし、いろいろうまく進みそうだなあ」と思ったことも、きっかけの1つかもしれません。
例えば、イベントやレコードショップのような直接的な場づくりの機会もあるし、空間のBGMやファッションショーの音楽のように環境や他の人の作品に添える形での役割もある、SNSやネット配信のようなオンラインでのコミュニティにもいろんな角度で関われるなどなど。活動を通して、いろんな土地の人と出会ったり、いろんな土地を旅することができるのも醍醐味。

音楽で一番大事なことは「響きあうこと」と「感じあうこと」。

自分と相手の音や空間の音、お客さんや環境など様々な要素のバイブスに、全身の5+1感をフルオープンにして感じること。響きあうこと。バイブスを交換、交流しあって、自分だけでは創れない何かを生み出すこと。全身で受け止めて吸収すること。固定観念や緊張でカチコチに固まってしまった脳と身体ではなくて、打てば響くような柔軟さとしなやかさ。
「音楽をつくる」というとすぐに「楽譜が…」とか「機材が...」という言葉が出てくることが多いですが、一子相伝!というと大げさだけれど、googleで簡単に見つかる情報じゃなくて、誰かと時と場所を共有することで得る身体に刻み込むような生きた知識って、そんな所にあるのかな、とひしひし感じてます。そして生きた知識は、他の分野にも応用でき、シンプルなようで、向き合えば、どんどんと深みを帯びてくる。

もともと、1人で本を読んだりコンピューターに向かったりすることが好きだった私が、他の人たちとコミュニケーションできるようになったのも、音楽が連れてきてくれた事柄なのです。
気がづいたら、ずっと横にいて、いろんな景色を見せてくれた音楽という存在。
2018年は一緒にどんな旅ができるのか、どんな響きが生まれていくのか。そして何より、音の旅の先々でどんな出会いが待っているのか。今から心ときめいています。

(text: DIYミュージック教授 sawako



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