講義レポート

「文化・味の伝承者の一員」

自由大学教授・キュレーターによる連載コラム

 NHKの大河ドラマ『西郷どん(せごどん)』 日本史好きなので大河ドラマは毎年継続して観ていますが、‘西郷どん(せごどん)’は無意識に?無性に?とても見入ってしまいます。タイトルコールの映像ですら、どこの滝?!と前のめり。九州の人だから?と思いますか?いえ、べたべたの東京育ちです。

 20代からの夢だった‘飲み屋をやる’を実現するために2009年に会社を辞め、2010年、焼酎をメインにした‘飲み屋’を開店。翌日に残らず、またどのお料理にも合わせられるその種類と味わいの多さに魅了され、焼酎をパートナーとして選びました。

 飲み屋をやる、と決めてから‘焼酎’というお酒の基礎を学び、九州に出向いて焼酎に合うお料理の味を知っていくうちに、地域・風土や文化が、食とお酒に繋がっている!と肌身に感じるようになりました。 稲作地域は米焼酎にうなぎ、九州の甘口お醤油には芋焼酎に豚肉料理、納得の方程式。そして、焼酎造りの蔵元さんの方々との出会いを通して更にはまっていき、焼酎への思いは、継いできた‘家’の重さだけではなく、地域や文化の継承でもあるということを知りました。蔵元さん皆さんが焼酎造りによって、その風土に合わせ、風土を活かし、地域文化と共存しながら、文化を支え、そしてその文化を焼酎を通して地域内外多くの人に広げているのです。その重さ・深さを熱く、でも、まるで個人的な趣味のように楽しみながら、でも実直に!造っているその姿勢がとても魅力的で楽しそうで、本当に羨ましくなりました。 造り手さん達との数々の出会いで’‘人’’‘味=文化’を繋いでいる、焼酎1つ1つにストーリーがあるのだ、ということに感動! また、この人たちに会いたい、この造り手さんの味はどんななのか?! 今度は何を紡いで、どんなストーリーが生まれたの? 興味はどんどん深くなるばかり!  地域はどこであれ、その造り手から醸される焼酎は文化・味を繋ぎます。それを私自身も知りたい、そして、知ってほしい!と人へと繋ぎたくなるのです。 焼酎は、私を文化・味の伝承者の一員にしてくれているのでしょう。

毎年九州を旅するのも、自然と行きたくなるから。

それは焼酎が繋ぐ‘人’にパワーをもらいに、そして、新しいストーリーに出会いに。 今年は、南薩摩へ行こうと思います。

 焼酎を飲んで知って、その美味しさやストーリーをあなたの周りにシェアすることですでに文化・味の伝承者の一員になっているって素敵だと思いませんか?

一緒に是非伝承していきましょう!

++++ 仮谷陽さんオススメの本 ++++

『三国志』

 登場人物の1人、劉備の博愛主義とも言える「人」への思い、コミュニケーションのとり方が、組織で働く中でも揺るがない優しさを持つことの大切さとして共鳴し、「ぶれないコミュニケーション」を心がけるようになりました。また本にある戦術は仕事をする上での教則としても参考にしていました。

(text艶(シック)な大人の焼酎学教授仮谷陽



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