今年の2月に友人と二人で熊本へワイナリー見学と焼酎蔵元を訪ねに行った。
お酒が縁で出会った二人に観光は無し!どうせなら寒くないところ、と思い熊本県に決めたのに、寒波到来で雪は降るし、しかも二人とも免許を持っていないので、極寒で大変な思いをすることになった。けれども、終始あたたかい人のご縁に恵まれ、飛行機に乗り遅れる(雪の影響)という惨事がありながらも、心あたたまる思い出深い旅となった。
一日目のワイナリー訪問は知り合いはいなかったものの、シニアソムリエの方や、従業員の方が丁寧に対応してくれ、また内緒で秘蔵のワインを試飲させてくれたり、とても勉強になった。シニアソムリエが行きつけのワインバーを紹介してくれたので、夕飯後に早速訪問すると、ものすごくキャラの濃いソムリエが対応してくれ(笑)なんとも楽しい夜を過ごせた。
翌日に熊本県人吉市の寿福酒造場を訪問。米焼酎“武者返し”、麦焼酎“寿福絹子”を製造する蔵である。熊本駅から特急で約1時間半かけて到着。蔵に着き、中に入ったのだが、誰もいない様子。大きな声で挨拶する事4~5回、やっと奥から誰か出てきてくれたと思ったら、なんと杜氏の吉松良太さんだった。普通に蔵見学を想像していたのだが、「今、米が蒸しあがったところで人手が足りないので手伝ってくれ」とまさかのお願いをされることに!全くのど素人だけど良いのだろうか…と、とまどっていたら、寿福のお母さん、こと絹子代表が「大丈夫、大丈夫~!」と暖かい声を掛けてくれ、挑戦を決意した。蒸しあがった米に麹をふりかけて万遍なくいきわたらせる、焼酎作りの最初の工程を体験できることに。
私たちはお世辞にも役に立ったとは言えなかったが、初めて出会った5人で黙々と米を揉むという不思議な体験をし、妙な親近感がうまれた。その瞬間、人の縁という物の不思議さと、それに導かれてここまで来たんだという感動がふわっと胸に湧き上がり、心が震えた。友人もどうやら似たような事を感じているようで嬉しかった。
今回一緒に旅をした友人とは、2年前引っ越した先の町のワインバーで出会い、そのワインバーの飲み仲間が焼酎学の教授である陽さんと繋げてくれ、講義を受けることになった。そして、焼酎学の授業で出会い、親しくなった仲間に今回の蔵元を紹介してもらい、人吉市へ行くことに。色々な縁に導かれての旅であった。
私はお酒が好きだけれども、ただ飲んでいただけの年数が長く、そんな飲み方に飽きを感じていたころに焼酎学を受けた。不思議に思っていたが、長年ほっておいた事が自然と分かるようになり、そうなると俄然お酒が面白くて仕方なくなった。
物づくりの仕事をしている事もあって、作り手の話や、造りの現場がどうなっているかにもともと興味があり、焼酎学の授業で蔵元の方から色々とお話を聞いていたのと、また今回の熊本旅で実際に造りを体験し、今までの知識が自分の学びになったことは、本当に刺激的だった。
なーんて、なんでも知ってしまった様に書いたが、片足を踏み入れたに過ぎないのが本当のところ。分からない事だらけ。これからも楽しいお酒ライフの為に、少しずつ知っていこうと思う。
2018/3/20
艶な大人の焼酎学 第2期生 竹端志津加