東京、清澄白河のgift_labと十日町松代の山ノ家の2つの拠点を行き来するダブルローカルライフをするにあたり、移住ではないカタチ「気立ての良いヨソモノ」として新しい地域との関係を築いています。地域の方と挨拶を交わしたり、カフェに来てくれる方と話をしたりするなかで、ふと、地域の方とひとつのテーマについて深く話し合うことができたら、という妄想が浮かびました。まだなかなか実現できていないけど、近いうちにそんな機会をつくれたらと考えています。
そしてそれは東京の拠点の方で形になり、月一回、第4週の金曜日に「小屋ローグ」という対話の場を始めています。あらかじめ私がテーマを用意する。テーマ(問い)はあるが結論は求めない。答えも一つではなく、人によって違う、その違いを楽しむ。話すことよりも聴くことに重心を置き、その結果、自ずと自分で言葉を紡いでいく。そういったことの延長上で、考えたことも無かったような気づきが現れることもある。これは、私たちの講義「未来を耕すダブルローカルライフ」のなかでも最も大切にしたい部分でもあるのです。
実は、「対話の場」というのは普段の社会生活のなかではあまり機会がない気がしています。ゲストトークや講義といった一方向的により多く知識を持っている人から情報を得るのではなく、議論、討論、会議のように何かの結論を出すことを目的とした場でもなく、とはいえ日常的にとりとめもなく好きな話しをするのとも少し違う。ワークショップ的なアイデアだしというのともちょっと違う。
私が考える「対話」とは、もっとそれぞれの自分ごとから自ずと出てくる、ささやかだけどリアルな言葉の重ね合いのようなもの。最初から話しはできなくてもよくて、その空気に立ち会うことから始まり、立場や考え方の違う人たちの視点の違いの中から立ち現れてくる「気づき」のようなものを感じられること。そして、そういう雰囲気が醸成されるような時間・空間をつくることが「対話の場」をつくるということなんじゃないかと考えています。 そして「対話」というスタンスは、きっとこれからの社会のなかで大切なキーになってゆく気がしています。
(text: 未来を耕すタブルローカルライフ 教授:gift_ 後藤寿和)