講義レポート

お客さんに寄り添って、真剣に“くらし”について考える。

WE WORK HERE 講義インタビューレポート

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WE WORK HEREの講義では、講義の中で自分の働き方にインスピレーションを与えてくれそうな方たちにインタビューを実施し、まとめてもらうというアウトプットをしていきます。


 

インタビューさせていただいたのは、友人でリノベーション設計デザイナーの鎌田さん。鎌田さんは東京を拠点に、フリーで活動をされています。今回働くとはについて、これまでの経緯やどんなことを大事にしているかを伺いました。

 

♦ファッションデザインの勉強をしていたそうですが、そこからインテリアデザインへ転換されたそうですね。

高校を卒業して服飾専門学校でファッションの勉強をしていました。でも一生服のデザインしていくイメージができなくて、学校を辞めました。それで以前から興味のあったインテリアの勉強をするために、デザイン学校へ入り直しました。

 

♦デザインを勉強されて、その後どんなことをしていましたか?

卒業後は、給料1ヶ月7万円のデザイン会社や大手のゼネコン・不動産会社などいくつかの会社で経験を積みました。デザインもそれなりにできるようになって、忙しい日々を過ごしていました。でもどれもしっくりこなかったんですよね。お客さんとの直接の関係性が薄く、自分のやりたいデザインってなんだろうと自問自答していました。

その後美容室を作っている会社に転職し、ここではじめて設計から現場の大工さんとのやりとりなどを経験し、自分がやりたいのはこれだと実感したんです。

現場経験の少ない自分は、職人さんにバカにされることもありかなり大変でした。でも最初から最後までを経験できて、改めてこの仕事が好きだと実感しました。そして、自身のスタイルは現場から細部に携わって、よりよいものを提案することだと気づくことができました。

 

♦自身のやりたいデザインに気づき、さらに社員旅行で訪れた海外が大きな気づきにもなったそうですね。

そうなんです。社員旅行でオーストラリアのケアンズへ行きました。それまで海外はグアムへいったことがあるくらいでした。オーストラリアの西洋的で、日本とは違う建築や街の風景・デザインに大きな刺激を受けたんです。その時感じたのは、日本以外のことを知らない自分。こんなに面白いデザインがあるなら、もっと海外へ行ってデザインを知りたいと思ったんです。

 

♦その旅がきっかけで海外へ行かれたんですよね。

そうです。インテリアデザインを学べる学校を探し始めました。英語もほとんど出来なかったので、まずはロンドンの語学学校へ1ヶ月通いました。その時、素材として木に興味があり、フィンランドのアールト大学のwood projectに興味を持ち、参加することにしました。

フィンランドでは、様々な国の人に出会えて、色々な“くらし”を見られたことにとても影響を受けました。特にDIYの文化が根付いているためか、自身のライフスタイルを考えている人が多いなと感じました。おしゃれとかカッコつけではなく、楽しみ方を知っているというか。そこで、どんな人がどんな暮らしをするかをテーマにして、デザインするようになりました。

フィンランドでの経験は、大きなターニングポイントでしたね。

 

♦フィンランドでの経験を経て、帰国後はどうしていましたか?

日本へ帰国してから、数社でリノベーション案件を担当し、フリーランスとして活動を始めました。実は転職も考えていたのですが、ある面接で大手リノベーション会社の採用担当者に、お客さんにどう寄り添ってデザインされているんですかと質問したんです。でも質問に対して、反応がなかった。もう働きたいと思う会社がなかったんです。だからフリーランスでやろうと決めました。

フリーになってから、より自身のデザインやくらしへの考え方も変わっていきました。デザインはより必要なことをシンプルにして、洋服の選び方もどんなくらしにもフィットするものになりました。そのまま散歩するように海外へ旅にいく。特に独立してからは休みも仕事も、デザインすることも境界線はくなりましたね。

 

♦鎌田さんにとって働くとは?

働くことでもちろん生活も成り立ちますが、あまり働くとは意識していないですね。くらしを考えることが好きで、インテリアデザインをするようになったことは自然だったんだと思います。

アイデアが詰まったときは、好きなお酒を飲みながら、ときには海外へふらりと出かけたり。旅するように働くこともリンンクしていると思います。

 

♦1ヶ月の暮らしに必要なお金はいくらだと思いますか?

暮らしのためのお金はあまり必要ないですね。 家賃と仕事の活動費、自炊をしながら時々美味しいものを食べにいく。そのくらいでいいんです。 クライアントさんの“くらし”に真剣に向き合って、良いデザインを提供したい、それだけです。クライアントさんと一緒に作っていけるイメージができなければ、仕事は受けないですしね。ただ一緒にやるって決めたら、とことんクライアントさんに寄り添い、いいものを作ります。そのために、旅に出てインスピレーションを受けたり、友人と語り合う時間もデザインへ繋がっていると思います。

鎌田さんは、旅することや食べること、人との出会いをきっかけに、くらしを考えるようになり、くらしから色々なヒントを得て、自らの生き方もデザインされていらっしゃる印象を受けました。

鎌田さんの次の展望は、日本文化を海外へ伝えること。その一つとして“食”を提案していきたいそうです。

今回のインタビューで、改めて私自身のくらしを考えるきっかけにもなり、まだはっきりとした答えはわかりませんが、日々のくらしを丁寧に考えることで、働くことの意味がもっと違って見えてくるのではと感じました。

(interview & text:1期 Rie Tsukagoshi)



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