ブログ

食、クラフト、文化発信を探究する3講義を立ち上げ

FLY_ 66|森田真衣さん/ 自由大学キュレーター・日本酒文化研究家

森田真衣さん/ 自由大学キュレーター・日本酒文化研究家
初代ミス日本酒として国内外で日本酒のプロモーション活動に従事していた
森田真衣さん。日本酒を軸としたPR・発信、企画活動をおこなっているSAKEstagramer / 日本酒文化研究家として注目されています。自由大学では、日本酒を学び・体験する『sense of SAKE』を皮切りに、3つの講義でキュレーターを務めています。


自由大学で講義を持つまでの経緯を教えて下さい。

国連大学で毎週末開催されている青山ファーマーズマーケットで、『Aoyama Sake Fleaという企画に参加したのがはじまりです。

それまで、初代ミス日本酒として日本酒を広める活動をしていましたが、自分が主体となって学びを共有するという機会は初めてだったんです。2日で4回おこなったワークショップは毎回満員で、参加者が楽しんでいる姿が心に残りました。学ぶ意欲、意識が高い人が多く、「生産者やストーリーを大切にして発信をしていきたい」という気持ちにマッチしているコミュニティだなと感じました。

その後、青山ファーマーズマーケットを運営しているメディアサーフさんとの繋がりで、自由大学で講義を持ってみないかと声をかけていただき、『sense of SAKE』を立ち上げました。

 

イベントやワークショップでの発信と、自由大学の講義はどんな点に違いを感じますか?

自由大学に集まる方は、みなさん好奇心が溢れていますね。オフライン、オンラインに関わらず、探究、成長する意欲が強い。それだけでなく人との関わり合いを求め積極的な方ばかりです。日本酒を飲みながら講義をおこなうこともあり、ほがらかな空気感が漂っているのも心地よいです。

前半はまだ緊張感があるのですが、回を重ねるごとに雰囲気が良くなっていくので、コミュニティが生まれているなと感じます。

外部のトークイベントや講演会はどうしても一方的に話すかたちになってしまうので、自由大学の講義は参加者と双方向のやり取りができ、コミュニケーションをとりやすいところに魅力を感じました。

また、受け身ではなく、講義の時間をよりよいものにするアクションを取ってくださる方が多いです。たとえば毎回カメラを持ってきてくれて、ボトルを綺麗に撮ってくれる受講生がいたり。「一人では飲みきれないから」と毎回日本酒を持ってきてくれる人もいたり。自分が得意とすることでサポートしてくれるところが、良いコミュニティだなと思います。

 

3つの講義をキュレーターとして立ち上げる中で、難しいと感じることはありましたか?

ゼロから1を作るのが好きなので、講義づくりにやりがいや楽しさを感じます。ただ、自分が伝えたいことだけではなく、受講生が何を求めるか考えて決めていく必要があります。最初はハードルを上げてしまって、「基本的な内容すぎるのではないか」など悩みました。取り扱う知識のレベル設定の難しさは、今も感じています。

日本酒、動画を使った発信、器づくりという3つのテーマで講義をおこなっていますが、それぞれ私より専門性が高い方、魅力的な情報をお持ちの方はたくさんいるんです。知識・経験の範囲や量で伝えられる内容は決まるため、私はキュレーターという立場が自分の能力を活かせると判断しました。

ネットワークとコミュニケーション力をフル活用して、深い知識と専門性を持つ方を教授やゲストに招いたり、酒蔵見学など課外授業を設計しています。自由大学だからこそできる学びや体験を生み出し、たくさんの驚きや発見を提供したいと思っています。

 

第3期でゲスト講師をしていただいた月桂冠の大倉さんと蔵にて。

 

てのひらメディア学』『感じるうつわ学』は森田さんの専門である日本酒がメインの講義ではないですが、どのような発想で立ち上げられたのでしょうか?

日本酒が私の軸ですが、日本酒の周りにはうつわ、料理、文化、写真、動画など深堀りできるテーマがたくさんあります。

てのひらメディア学』は、私自身が旅のインフルエンサーとして活動をしている経験、気付きから生まれました。観光プロモーターを務めるなかで、SNSで発信する効果を実感しました。しかも重要度は年々増していて、もはやなくてはならない活動だと思います。

自分自身で試行錯誤する中で、発信力を上げるにはいくつかのポイントがあることに気づきました。それを多くの人に伝えて、みんなも発信して欲しい。SNSで投稿した内容やフォロワーは、自分の実績、ポートフォリオに育っていくので仕事に発展することも。外出自粛の影響でYouTubeの視聴者層が拡がったり、5Gの普及でコンテンツがさらにリッチになるなど、動画発信の存在感が高まる社会の流れもあります。

感じるうつわ学』教授の檀上尚亮さんは、もともと『sense of SAKE』でゲストに招いた陶芸家です。講義の1コマで酒器づくりをおこなったのですが、受講生から大好評でした。自分の理想の酒器をつくれること、形として残ることを喜んでくれる方が多く、檀上さんも器にフォーカスした講義を立ち上げることに賛同してくださって講義化に繋がりました。

3つすべての講義に共通していますが、受講したみなさんには「自主性を持って、得意なジャンルで活躍できる人になる」ことを目指して欲しいです。日本酒ならイベントを開催したり。YouTubeのチャンネルを持つ、個展を開催するなど、講義で学んだ内容をもとに目標を立て、それに向かって継続、実現してもらいたいです。

 

 

これから自由大学の講義で目指していきたいことや、森田さんご自身の展望をお聞かせ下さい。

講義を受けて終わりではなく、卒業生のコミュニティ化をより進めていきたいです。同窓会など繋がりを維持するだけではなく、誰かがイベントを開催する際には応援したり、制作物を評価し合うなど、協力し合う関係を築きたいと思っています。

個人としては、日本酒についてより活発な活動をしていきたいです。特に女性へ、もっと日本酒の魅力を知っていただきたい。ヨガ、アロマなどナチュラルなものが好きなので、無添加・オーガニックな日本酒のプロデュースする夢もありますね。

 

最後に、森田さんにとって自由とは?

自由とは「自分の感性を信じ貫ける状況」でしょうか。社会人になると、他者からの求めに対して何かを返す必要がありますよね。しかし、いつでも他者の期待にとらわれすぎることなく、自分の内側から湧き出す感性で選択できる状態でいたいです。

(取材:むらかみみさと)

▶︎「感じるうつわ学」 ※受講生募集中!
▶︎「sense of SAKE」 ※受講生募集中!
▶︎「てのひらメディア学」 ※受講生募集中!

 



関連するブログ