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長部広太さん、愛さん夫妻|FLY_046

自由大学をきっかけに結婚&キャリアチェンジ。理想の暮らしを求め人生をガラッと変えた仲良し夫婦

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もともとふたりともシステムエンジニアとアパレルブランドで分野は違いますが、わき目もふらず仕事第一。長く勤め、やがて下の世代から目標とされる技術者や上司になっていました。そんな彼らは自由大学「アメーバワークスタイル」の講義で出会い、2015年に結婚。さらに一緒に過ごす時間を大切にしたいと、2016年に40代で会社を退職します。「現在、無職夫婦です」と笑う、ありのままの飾らない姿が印象的な長部夫婦は、日々「実験」しながら、理想の暮らしにあったナリワイを探求中。ともに運営するブログ「OSABE夫婦」は多くの注目を集めています。そんな長部広太さん、愛さんにフリユニピープル編集部が取材しました。


 

ーおふたりは、自由大学で出会われて結婚をされたんですよね?

広太:はい、「アメーバワークスタイル」という講義がきっかけですね。僕は5期生、妻は4期生で、5期のアシスタントも担当していたんです。「アメーバワークスタイル」はざっくり言うとアメーバのように変幻自在に姿を変え「1つの働き方に縛られず複数の仕事をつくって生きよう」ということを学ぶ講義なんです。自分の興味関心や境遇から複業のアイデアが生まれるということで、最終回で自分のやりたいことを宣言する時間があるんです。そこで僕はなんとなく直感で「結婚します」って宣言したんですよ。特にパートナーがいたわけでもなかったのですが…。そうしたらもう1人、偶然なのですが同じく「結婚します」と言ったメンバーがいたんです。


愛:
そう、それが私です。あの頃は私も仕事一筋でパートナーもいなかったのに、勢いで宣言してしまって! まさかこのふたりが結婚するなんて夢にも思ってもなかったよね。はじめ私は彼のこと全然タイプじゃなかったので(笑)。

 

ーえ、それは意外でした。アラフォー世代で「晩婚バンザイ!」とブログでも書かれていますが、どのように距離を縮めていったのでしょう?

 

広太:僕も彼女のこと、近づきにくくて苦手なタイプだと思っていました(笑)。あの頃は今と違ってバリバリのキャリアウーマンな見た目で「できる女」という感じ。話し方も服装も完璧で、隙がなくて怖かったんです。もし講義で一緒じゃなかったら、話しかけてなかったね。


愛:
今よりツンツンしていたもんね。はじめは彼に先輩を紹介しようと思って合コンをセッティングしたり、面白い恋愛コラムのリンクを送りあったり、そんなことをしているうちに距離が縮まってきたんです。彼は何も否定せずに話を聞いてくれるので、とても居心地が良いんですよ。

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「晩婚バンザイ!」広太さん44歳(元システムエンジニア)愛さん40歳(元アパレルブランド管理職)。人気ブログ『OSABE夫婦』を一緒に運営し、結婚してからの自分たちなりの「生活実験」を惜しみなく公開している。

 

ーおふたりにとって「アメーバワークスタイル」は運命の講義ですね。そもそもこの講義を受けようと思ったきっかけは?


広太:僕は特に仕事に不満があったわけではないんですよ、楽しんでいたし。だけどもうちょっと仕事以外に何か違うものを求めていたんですよね。プラスαが欲しかったんです。当時(2013年)は「アメーバワークスタイル」以外にも、「ナリワイをつくる」「DIY実験室」「社内起業学」など、仕事や生き方を考える講義をたくさん受けていましたね。

 

愛:私は「アメーバワークスタイル」が一番最初に受けた講義なんです。その時は会社も好きだし、居心地も良くて、会社を辞めるなんて考えたこともなかったんですよ。でも一方で、このままでいいのかなっていう気持ちもあって、どこか違う場所に飛び出したかったんです。そんな時に調べていたら、自由大学を発見して、「面白そう!」と思って応募したのがきっかけですね。おかげでガラッと人生が変わっちゃいましたね!

 

ー講義を受けている途中で何か変わり始めたことはありましたか?


広太:いや、それがないんですよね(笑)。とにかく楽しかった。集まってきた仲間やゲスト教授がユニークな人ばかりで、月曜日なのに毎回、講義のあとに集まって終電まで飲んでましたね。

 

愛:楽しかったよね。4期は「会社で働きながら、自分の顔が何個もあるようなパラレルキャリアの人たち」がゲストだったんですよ。なので私は、「サラリーマンって楽しいじゃないか、 今を楽しもう!」って思考に変わっていきましたね。あとは、年代関係なく誰とでもフラットに接しられる環境もとても新鮮でした。会社では管理職で、部下や後輩もたくさんいる手前いつも「しっかりしないと!」と思っていたので、年下に紛れて、気を張らずに話しているだけでも楽しかったし、マインドもだんだん柔らかくなっていきましたね。

 

ー確かに、多様な年代や職業の方に会えるのも魅力的ですよね。それぞれの分野で活躍されキャリアのあるふたりですが、受講後には何か今後のプランが見えてきましたか?


広太:
逆に僕は受講後にモヤモヤしました。何でこんな自由な大人がいるんだろうって。今後どうしようって、迷いだしました(笑)。
愛:私は、新卒から17年続けてきた今の仕事を「もっと楽しもう、よし続けていくぞ!」って思ったんですよね。なので受講後は、社内起業を考えて「創業スクール女性起業家コース」を受講したり、この会社でやりたいことをやろう!って燃えてました。あとはキュレーター(初代学長)の和泉里佳さんの「前例がなくても、やりたかったらやればいいじゃん!」っていうスタンスがとても新鮮で、どんどん視界が開けていきましたね。それから、社外の人たちとの繋がりが増えていったんですよ。すると不思議と、会社での役目は変わらないのに、だんだん人生が楽しくなってきたんです。それと変わったことと言えば、ちゃんと休むようになったこと。残業はせずきちんと休んで、「自分の人生を第一に考えよう」って思うようになれたのは大きいですね。

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広太さんの受講歴:「ナリワイをつくる」「アメーバワークスタイル」「DIY実験室」「社内起業学」

 

ーでも、今おふたりは長年続けてきたお仕事を退職されてますよね。辞めるまでにどんな心の変化があったのですか?


広太:
そうですね、僕は2016年7月末で10年以上続けてきたシステムエンジニアの仕事を退職しました。今では誰もが知るようになった日本有数の巨大ショッピングサイト開発に関わらせてもらい、技術も活かせたし、評価もしていただいていたのでやりがいもありました。1ヶ月間休職期間をいただけたり、有給もきちんと取得できるような恵まれた環境だったんですけどね。だんだんと、自分たちのつくったショッピングサイトが拡大を続けるうちに、もしかしたらお客さんたちに不必要なものまで欲望を刺激して売っていないかと、心配になってきたんです。自分があまりモノを持たないシンプルライフを目指しているのに、会社ではどんどんモノを売らなくてはいけない、そんなジレンマもありました。

 

愛:それは、私も同じですね。私は、アパレル販売員のマネージャーをしていたけれど、どんどん新しい洋服を売らなきゃいけない仕事で、それがだんだん苦しくなってきたんです。それに出張も多いし、土日も仕事ばかり。せっかく結婚したのに、一緒に居られる時間がほとんどなかったんです。

 

広太:そうそう、休みがまったく合わなかったよね。僕は仕事を辞める前は、もっと社会を良くするようなシステムをつくれる会社に転職することも考えていたんです。だけど、ある日突然「辞めてしばらく休もう!」と思えたタイミングがあったんですよね。妻に相談したら、「いいんじゃない?」と言ってくれて。ちょうど妻も退職が決まっていたので、「このタイミングで退職したら、妻と旅行にも行けるし大好きなマリンスポーツもできる、一緒の時間をたくさん過ごせる、やりたいことを実現できる!」って思えたんです。人生いつ死ぬかわからないし、好きなことやろうって、よく妻とも話してるんですが、「人生で1年くらい何もしないで、ゆっくり好きなことやっててもいいのかな」って思えてきました。
愛:私は40代を迎えて、自分の暮らし方や働き方に疑問を持ち始めていたんです。彼と一緒に暮らし始めたり、結婚した時に、「女性としての人生、これでいいのか?」って。会社では社内研修や勉強会、リーダーとして楽しいチームづくりを積極的にして頑張っていたんだけど、急に興味がわかなくなってきちゃって、抑えてたものがあふれてきたんです。たぶん、満たされていなかったんでしょうね。私もある日突然、「辞めよう!」と思えるタイミングがあったんです。仕事は楽しかったんだけど、結婚してからは、会社で過ごす時間よりも彼と過ごす時間を大事にしたくなったんです。

 

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愛さんの受講歴:「アメーバワークスタイル」「自分軸をつくる占い」「創業スクール女性起業家コース」「器を継ぐ(金継ぎ)」「乾物のある生活」

 

ー結婚をしたからこその退職だったのですね。退職をした今、これからの暮らし方やお仕事のお話を聞かせてください。


広太:
最近、「これからどんな暮らしがしたいか」って話ばかりしているよね。まずは、居心地のいい場所にいることは大切にしたいなぁと思っています。今住んでいる清澄白河も好きだけど、そこにこだわらずに、いろんな場所に行きたい。

 

愛:あとは、場所とか時間に縛られない生き方をしたいよねって話してます。寒い時は暖かい場所に行けたり、身軽なのがいいのかなって思っています。それと、本当に自分たちの好きなものに囲まれた空間で暮らしたいですね。今はどれだけ移動しながら、生活費を稼げるかを模索中です。

 

広太:僕たちはよく「実験」っていう言葉を使うんだけど、いろいろ思い浮かんできたことは実践してみようと思ってます。彼女のすごく良いところは、否定しないで「やってみよう!」と言ってくれることなんですよ。なので、こうしたい!って思えたことは口に出して、大事にしてます。でも、僕はもうちょっと、無職期間を満喫しようかなぁ(笑)。
愛:そうだね。あと今は、暮らし方だけ理想を持っていて、そこに沿うような働き方を見つけていこうと思っています。私は最近、ようやく仕事モードになってきました。2カ月間、ふたりで加計呂麻島にプチ移住をしていたんですけど、まったくオシャレをしない生活をしてみたらこれが楽しくなかったんですよね。自分が好きなようにオシャレを楽しむというか、新しい服を購入するのではなくて、今ある服でその人のライフスタイルに合った、日常的に楽しめるファッションを提案できるパーソナルスタイリストをやっていこうかと実験中です。

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加計呂麻島では、人生初のスキンダイビングにも挑戦。興味のあることはまずはやってみる!

 

ーどんな仕事をするのかではなく、どんな暮らしをしたいかを大切にしているのですね。


広太:
あと僕は、選択肢があると自由になれると思ってるんです。選択肢がないと、「そこで頑張らなきゃ」って苦しくなっちゃうけど、他の選択肢に気づくことができると、窮屈な選択肢を捨てて、別の方向にも行けるんじゃないかと思っています。

 

愛:私たちもアメーバワークスタイルを受けた後から、いろんな働き方をあることに気がつけたし、他の選択肢を知っていることは、とても自由だなと思います。まさにアメーバ的だね。

 

 

ー他の選択肢が見えると、今の自分が見えてくるというか世界がもっと広がりそうですよね。最後になりますが、自由大学の未来の受講生に向けて何かありますか?


広太:
自由大学の講義を受けるか迷ってる人は、ちょっとでもピンときたらとりあえず行ってみてほしいよね。その時その時で合う合わないはあると思うけど、自分の声に素直に従って、やりたいと思ったらやってみた方がいいと思う。

 

愛:本当にそう! 私は、アメーバワークスタイルを受けた瞬間から人生が変わったからね。そのタイミングでそれがいいと思って集まった人たちって、絶対何か縁があると思ってます。講義はもちろん、そこに集まった人とのコミュニティがとても魅力的ですね。家でもない職場でもない、第3のサードプレイスを持っていると、もっと人生が豊かになると思ってます。

 

広太:飛び込んじゃえば、何かしらヒントはある。

 

愛:揺さぶられちゃうよね。

 

編集後記:おふたりのエピソードはここには書ききれないくらい魅力的なものがたくさん。自由大学で出会ったからこそ、思考の方向性や価値観が似ていて、居心地が良いと笑顔で話す長部夫妻はまさに私の憧れの夫婦でした。そんなふたりの日々の暮らしは人気ブログ「OSABE夫婦」でチェックできます! これからの長部夫妻の暮らしに目が離せませんね。

 

編集・撮影 ORDINARY 石川妙子



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