講義レポート

雨で濡れてしまった靴は、思い切って「水洗い」に

「20年履ける靴に育てる」講義レポート

今年に入って東京は5回目の雪だそうです。春が近づいてきたかなぁと思ってた矢先なのに。
こんにちは、「20年履ける靴に育てる」のキュレーターのみよしです。

こんな雪の日や突然の雨で靴が濡れてしまうことってよくありますよね。仕事のときに雨靴を履いていく訳にいかないし、悩ましいところです。みなさんは濡れた革靴ってどうされていますか。ドライヤーで乾かしたり? そのまま放置してしまったり? どちらにしても、乾いた後で見てみるとシミになっているっていうことありませんか。雨シミってどうしたらいいんだろう、そう思ってる方って多いと思います。

そんなときにおすすめなのが、この講義の4回目で学ぶ「水洗い」です。雨に濡れてシミになるのに、水洗いって?! と不思議に思うかもしれませんが、実はシミをとるのにとても有効なんです。シミの原因は、濡れたところと濡れてないところのエッジです。

水洗いの一つ目のポイントは、まんべんなく水をかけること。

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中途半端はシミの原因です、大胆にいきましょう。水洗い用のソープ(もしもラー油とか油シミが気になる場合は食器用洗剤を使ってもいいです、ただ栄養成分が入ってないので乾いた後のケアは念入りに。)を泡立ててまんべんなく洗ってあげたら、その靴が一番かっこいい、こうあってほしいという形に新聞紙を詰めてあげます。

多く詰めすぎたり、少なかったりするとその形で記憶されてしまうので要注意です。1~2日乾かしたら中の新聞をとってきちんと乾かします。もちろん自然乾燥です。革靴のケアは人のお肌のケアに例えられることがよくあります。水洗いはクレンジングをした状態、このままでいるとお肌が乾燥してきちゃいますよね。

二つ目のポイントは乾かした後を丁寧に。

汚れが落ちて綺麗になった靴は乾燥へまっしぐらです、ここへ栄養クリームをいれてあげるとぐんぐんと吸い込んでとってもふっくらとしてくれます。たまにジーンズを洗うと、きゅっとして気持ちがいいように、靴も履き心地が変わります。シミをとるだけでなく、汗や汚れも落とすことのできる水洗いは、技として知っておくととても使えます。

巷の靴磨きや修理屋さんで、水洗いしてもらうと何千円もかるみたいですしね。ただし、洗ううえで、靴によっては逆にシミになってしまったり、色が落ちてしまったりという不安要素もあります。「20年履ける靴に育てる」の講義では、このポイントもきちんとお伝えしてから水洗いの実習に入っています。

ちなみに「水洗いなんて怖くてできないよ!」という方には、シミを予防する方法をお教えしますね。家に帰ったら、濡らして固くしぼったタオルで、濡れた靴の全体をまんべんなく拭いてあげてください。まんべんなくがポイントです。先ほども書いたように中途半端がシミの原因になります。そして乾かしてあげたら、栄養クリームを入れて豚毛のブラシでマッサージ。日頃からの心使いで靴のもちがだいぶ変わってきます。

毎日同じ靴を履かないというのも靴を傷めません。私たちの足は毎日コップ一杯分の汗をかいているそうです。靴を休ませてあげる、そしてそのときには木製のシューツリーを入れてあげると、湿気がとれてとてもいいと思います。靴にも休息を。そう、休足を。

靴が毎日私たちの足を守ってくれているにも関わらず、洋服のように洗濯したり大事にしてない人って多い気がします。履きつぶして捨ててしまうって方も多いと思います。でもこの講義では捨てるなんてもったいない。私たちは「20年履ける靴に育てていこう!」と大きな声で言っています。

実際これを見ると捨てる靴なんてないんじゃないかなと思うんです。

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この講義の最終回では、大切な方の靴を磨いてあげるのですが、これは受講生のお一人が同僚から借りてきた靴です。靴のケアをしたことがない同僚で、捨てるつもりでいたそうです。色もあせて、傷だらけでした。それがちょっと手をかけてあげるだけでこんなにも見違える姿になりました。この靴を誰が捨てようと思いますか? 何も難しいことはしていない、ただ、足りないところに栄養をいれてあげる、それだけでこんな風に生まれ変わらせることができます。

受講生の中には、靴磨きをされている方もいらっしゃいますが、その多くは全くの初心者で、気に入ったものを長く履きたい、自分の周りにあるものを大切にできるメンテナンス方法を学びたいと来てくださる方がほとんどです。わずか5回の講義ですが、自分のものだけでなく周りの方の靴もケアしてあげられる自分になれる。「これは手に職ですね!」と喜んで卒業していかれました。

丁寧に生きる。それは自分の足元を見直し、大切にしていくことから始まるかもしれませんね。



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