これから東北とどう向き合うかを考え、実際に行動する「東北復興学」。3期受講生の大浦智之さんがレポートを書いてくださいました。
私は、高校卒業までを福島市を中心に過ごしました。青春時代とは無縁な日々でした。輝かしい記憶などありません。ただ、帰省にて福島に戻れば、気持ちが落ち着く、今でも大切な場所です。
震災当時は茨城の職場にて津波の被害に遭い、職場の1階部分は海水や泥がかぶり、多くの部材が流され、私も車を失うことになりました。被災した光景は想像を絶するもので、自然の力を前に人間はただただ無力であることを強く実感しました。幸いなことに実家が直接的な被害を受けなかったこともあり、電気も通らない職場の復旧活動にのみ集中する状況がしばらく続きました。
その後時間的な余裕が出てきた時に、福島県いわき市の災害ボランティアに参加してみたり、出身高校の関東地区同窓会に初めて参加しました。もともと豊かな自然と多くの歴史文化的背景を持つ故郷・福島と、何かしら関わっていきたいという思いが少しずつ芽生えてきました。
時間が経って職場が変わり、東京で暮らし始めて、地元ともう1度向き合っていく機会を探し始めました。そのような過程で、地元との向き合い方には、多様な形があり画一的ではないのだ、と気づきました。「東北復興学」を知ったのはそんな時です。受講対象者には「これからの故郷との繋がり方に関して”モヤモヤ”している人」という一文がありました。まさに”モヤモヤ”していた私は、これだ!と合点し、受講をすぐに決めました。
さて、そのような中で始まった授業は、本当に刺激の多いものでした。
東北に関わっていらっしゃる方や、OBの方がゲストとして毎回気軽にいらっしゃいます。受講生の方は、出身地も様々で、私のようなモヤモヤしている人から、すでにアクションを起こしている人まで、多様な意見が出てくる面白い講義です。講義の後半はアウトプットをして思いを口にしていくことで、自分がほんの少し前に進めたような気がします。
5回の講義の中で1番印象に残ったのは、宮城での現地講義の後に、課外授業として用意されていた地域体験プログラムです。そこで宮城県栗原市にある風の沢ミュージアムを訪問させていただきました。地元の盛り上がり、活性化に向けて努力されている方とお話をさせていただくことができました。自然溢れる里山を散策したり、名産品を色々と食す中で、地域パワーの大きさを再認識できました。
「東北復興学」では、授業で終わりではなく継続させていくことが大切であるということを学びました。私は、少しずつですが前へ向けて進んでいきます。「東北復興学」楽しいですよ!