講義レポート

見知らぬ地が、特別な場所へ

「東北復興学」第3期 講義レポート

これから東北とどう向き合うかを考え、実際に行動する「東北復興学」。受講生の石橋麻由子さんがレポートを書いてくださいました。

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震災から2年経とうしている中、たまたま東北復興学の募集を見たのがきっかけで受講しました。私には、東北に親類も友人もいない。旅をしたわけでもない。でも、東北、特に被災地について気になっている。そんな中で復興学の講義が始まりました。

第1回と第2回の講義で、東北の復興に関わる方々のお話を聞くたびに、自分の中のモヤモヤが大きくなるようで、この場に私がいていいのかな? 私にできることがあるのかな? そんな不安ばかりがよぎりました。今思えば、この迷い、不安こそが、小さな当事者意識の芽生えだったような気がします。

講義では、実際に仙台へ行きます。初めて降り立つ地ということもあり、不安を抱えながらの仙台フィールドワークでしたが、私の気持ちに変化をもたらしてくれたのは、この地での出会いでした。特に仙台市荒浜の遠藤農園のお父さん、お母さん。とても気さくで温かい人柄で、東京からきた私たちを優しく迎えてくださいました。震災でたくさんの痛みを経験したはずなのに、幸せなそうな笑顔が印象的で、その笑顔が東北の人が持つ我慢強さ、逞しさ、あきらめない心、復興の力になっているのかなと、強く感じました。

仙台市の東に位置する七ヶ浜町では、現地で活動を行っている住職のお話を聞くことができました。その中でこんな話をうかがいました。あるボランティア団体が、年越しそばを配ったそうです。何も知らなければ、良い活動をしているように思えます。しかし、地元では蕎麦屋の営業を再開していることもあり、結果的に営業妨害となっている。そういう真実もあると。このことから、やはり現地で実際に活動をしている方々からの一次情報を収集することの重要性を学びました。

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東北の地に立つまで、非力な私にできることは何か? を考えてばかりいましたが、フィールドワークを通して、私は単純なことに気づきました。私は何もできないから、たくさんの方々から話を聞き学ぶためにこの講義を受けたんだということを。そんな私の「モヤモヤ」を晴らすにあたって、たくさんの方々から差しのべられた手に、心から感謝しなければならないなと感じています。また、この講義に参加してよかったのは、素敵な出会いが多かったことです。それは、東北復興学の1期生と2期生、復興クラブのスタッフの方々が足を運び、講義内で信頼関係を築いていただいたおかげだと思います。

私は、今回のフィールドワークで、仙台に心の一部を置いてきました。それは、東北が私にとって、見知らぬ地から特別な場所へと変わったからです。もっともっと、たくさん東北を知りたい、たくさんの人に出会いたい、そんな気持ちで溢れています。

東北復興学に卒業はありません。モヤモヤが晴れてからが、新しい学びに突入するような気がします。私は、悩んでいる人、一歩を踏み出す勇気がない人、そんな優しい心を持った人が大好きです。ぜひ、この講義に飛び込んでみてください。きっと、素敵な仲間が待っていますよ。



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