講義レポート

ふるさとを、見つめ直してみる

「東北復興学」第2期 講義レポート

これから東北とどう向き合うかを考え、実際に行動する「東北復興学」。受講生の大野祐子さんがレポートを書いてくださいました。

みなさん、こんにちは。「東北復興学」2期生、福島出身の大野祐子です。

私が生まれた福島県郡山市は新幹線で約1時間半、私にとってはいつでも帰れる、そんな当たり前の場所でした。そんな故郷が昨年の3月11日にがらりと姿を変えてしまい、この急激な変化にはじめはただただ戸惑うだけしかできませんでした。

実家が地震の影響を受けたこともあり、ボランティアも何もできないまま時間だけが過ぎていき、その間にもメディアからどんどん福島や東北の被災地の今を知る機会が減っていく現状にとても焦りを感じると同時に、被災地のために何もしていない自分にもモヤモヤをしていました。そんなとき出会った東北復興学。ここにくればこのモヤモヤを少しでも晴らせるかもしれない。そんな期待をこめて講義に参加することにしました。

私は、仙台荒浜でのフィールドワークで、震災後はじめて津波被害にあった地域に入りました。被害地域が仙台市内からとても近いこと、たった一本の道路を挟んで被害の規模が大きく違うことにとても驚き、その風景に記録用にと持っていたカメラをなかなか向けることができませんでした。

さらに遠藤農園さんやサイゼリヤのトマト農園で働く方々から塩害に見舞われた田畑の現状やトマト農園を立ち上げるまでのお話を伺い、東京にいたらわからない、当時と今の現地の状況や人々の思いを感じることができた貴重な体験でした。

第3回講義のゲストには「東北復興新聞」の発行人である本間さんをお招きし、東北復興新聞を立ち上げるまでの経緯や、新聞を作ることの意義などをお話し頂きました。広範囲に渡る被災地の情報を横断的に発信し、よい事例をピックアップしシェアしていく。本間さんのお話からは東北との関わり方のヒントになるキーワードを多くみつけることができたように思います。

東北復興学では自分なりの一歩を踏み出すことをとても大事にしています。家族に会いに地元へ帰ること、東北を観光しその土地の魅力を周りの友人に広めること、お祭りに参加してみること。大きなプロジェクトやイベントを立ち上げるだけが支援ではなく、自分の身の丈にあった支援の形の多さに授業を通じて気付くことができました。

小さな支援をそれぞれの形で続けていくことが、これからの東北を支えることに繋がるのかもしれません。

そして私がこの講義を通じて得ることができたのがもう一つ。それは同じ気持ちをもった人たちとの出会いです。故郷も年齢も、働く環境も違う人たちが「東北」という一つのテーマのもとに集まることで、一人では実現できなかったことも、「エイヤッ!」と形にしていける、思いを思いで終わらせない。みんなとの出会いがあったからこそ、震災以降目を背けていた故郷「福島」を見つめなおす勇気をもらうことができました。

講義が終わり思うのは東北復興学に参加を決めたときに実は最初の一歩は踏み出していたんだなということです。講義での学びと出会ったすべての人に感謝をして、これからも故郷「福島」が進む復興の道に寄り添い歩んでいこうと思います。

モヤモヤを抱えているみなさん、一緒に「東北」を見つめ直してみませんか?



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