講義レポート

ドライトマトを宇宙人に言葉で伝えてみる。

「乾物のある生活」講義レポート

こんにちは、「乾物のある生活」キュレーターの白井です。
「乾物は古臭い? 乾物は面倒? 乾物は難しい?」という先入観を取っ払い、その無限の可能性を学んで、生活を豊かにしようと始まった「乾物のある生活」(第2期は9/3開講)。
第二回目のテーマは「野菜・果物の乾物を楽しもう」です。
突然ですが、これは一体なんでしょう?

今日の講義は「ドライトマトを宇宙人に言葉で伝えるとしたら?」というワークショプから始まりました。
「乾物のある生活」では、食感や味覚に限らず、触感・匂い・見た目、いろいろな角度から乾物を表現することをよくやります。ただ知識を身につけるだけでなく、五感を使って乾物と向き合うのです。先入観なしで、まったく食文化の異なる人たちにどうやって伝えるか?
受講生から出てきた答えは、こんな感じでした。
「でこぼこ」「塩辛い」「歯にくっつく」「見た目が気持ち悪い」「しんなりしている」「しょっぱ甘い」「じゅわっと旨みが広がる」「後味が渋い」「皮が口に残る」「軽い」「つぶつぶ」「色がたくさん」「深い赤」「引っ張ると伸びる」などなど。

言葉というのは、自分が感じたことを人に伝えたい、共有したいという気持ちが強いときに生まれてきます。それは文化によっても違いがあって、たとえば、フランス語は「香り」を表す言葉、韓国語は「味わい」を表す言葉が多いそう。
では、日本語はといえば「食感」を表す言葉が多く、その数445語。ドイツ語や英語でおよそ100語。中国語は約140語、フランス語が約230語ですから、いかに「食感」にこだわっているかがわかりますね。
言葉は食文化。そこには歴史があり、言葉を使わないと、感じる力もいっしょに失われてしまいます。「おいしい」「うまい」ではなく、何がおいしいのか?どうしてうまいのか?それを考えることは、自分の感性を磨く一番の近道ですね。
続いて、箱にいれた「芋がら」「割干大根」「山くらげ」「かんぴょう」を触覚だけで当てるゲームです。

「芋がら」は丸く、「切干大根」は平ら。「かんぴょう」は平べったいけれど、ちょっと湿った感じ。「かんぴょう」も平らだけども、ちょっと太め、など。
手で触るだけでも、重さ、大きさ、温度、肌触りなど、いろいろなことが感じられますね。
ちなみに、「かんぴょう」は夕顔の実をひも状に剥いて乾燥させたもの。「山くらげ」は、ステムレタスを干したもので、コリコリとした歯ざわりから名付けられました。中国では皇帝に献上されていたことから貢菜とか皇帝菜とも呼ばれるそうです。

乾物を扱う際に、一番気になるのは戻し時間。野菜の乾物を戻し時間順に並べてみました。
同じ大根の乾物でも、「切干大根」は20分~1時間。「凍み大根」は一晩。「蒸し干し大根」は、なんと戻さずに使えるんです。乾物といっても、すべてが長時間戻す必要もなく、自分のライフスタイルにあわせて使いこなせるといいですね。
仕事に出かける前に、帰宅時間から逆算して乾物を戻す準備をするとか。忙しい時には、戻さずに使える乾物を使うとか。乾物を料理に使うには、想像力がいつも試されます。
今日の試食は「菊のりのおろし和え」「タロ芋の干葉と豚肉のココナッツミルク煮」「ペルー風パパセカ鶏肉の煮込み」です。

▲菊のりのおろし和え


▲タロ芋の干葉と豚肉のココナッツミルク煮


▲ペルー風パパセカ鶏肉の煮込み(写真がボケててごめんなさい)
「パパセカ」は、ペルーで食べられている、干しじゃがいものこと。「タロ芋の干葉」は、フィリピンでよく食べられているそうです。「菊のり」は、食用の菊の花びらを蒸してから平らに干したもの。戻し時間がほとんどかからないので、簡単に料理に彩りを添えてくれますね。
日本だけでなく世界中の乾物を知ることができたり、実際に食べたりできるのも、「乾物のある生活」の魅力。次回のテーマは「豆類の乾物を賢く食べよう」です。お楽しみに。



関連する講義


関連するレポート