講義レポート

乾物は古臭いという既成概念を打ち破りたい

「乾物のある生活」講義レポート

こんにちは、「乾物のある生活」キュレーターの白井です。
「乾物は古臭い? 乾物は面倒? 乾物は難しい?」という先入観を取っ払い、その無限の可能性を学んで、生活を豊かにしようと始まった「乾物のある生活」(第2期は9/3開講予定)。
教授は「おいしく楽しく食べ続ける」をキーワードに、ワークショップ、レシピ提案、料理教室、講演、コラム執筆など、食に関するさまざまな活動を行なっているサカイ優佳子さんと田平恵美さん。お二人は、五感を重視した食育ワークショップ「食の探偵団」としても活躍されています。

第一回目は、乾物の世界を俯瞰で捉えることから始まりました。
まずは自己紹介から。受講生のみなさんには自分の好きな乾物を持参してもらって、なぜその乾物が気になるのか?乾物のイメージは?乾物料理で思いつくものは?などなど、お話いただきました。乾物を使っての自己紹介なんて、みなさんはじめてのはずなのに、そこは乾物好きという共通点もあり、話が弾みます。
最初は、乾物の写真をみながら、乾物の名前当てクイズ。
「小豆」「大豆」「パスタ」「高野豆腐」「干ししいたけ」あたりはスラスラと回答が進みますが、「春雨」「すき昆布」「菊のり」「芋がら」「しばれいも」あたりになると、難しくなりますね。料理になる前の元の姿は、なかなかみる機会がないかもしれません。
「震災後、スーパーで食品の買い占めが起こるも、乾物の棚はいっぱいあった。乾物は保存に常温保存ができるし、長期間もつ。場所もとらない。こういうときこそ、乾物を上手く使わなきゃ。」と教授のサカイさん。
確かに、乾物は、旬を「保存」し、無駄を出さず、食べものが足りない時にも食卓を潤してくれます。冷蔵庫がなくても保存がきき、一度に食べきれなくても大丈夫なんですよね。一度使い方を覚えれば、それだけで料理を一品作れてしまうんです。
また、乾物には、生とは違った味、食感、香り、栄養があります。軽くて保存性があるので長時間の輸送でも問題なし。今まで食べたことも聞いたこともない食材に出会えるのも乾物ならではのお話ですね。
「乾物は古臭いという既成概念を打ち破りたいんです。ここに集まったみなさんは、乾物レボリューションを起こす仲間なんです!」と熱く語るサカイさんと田平さん。
例えば、切り干し大根や干し椎茸を100gを作るのには、生の大根や椎茸がぞれぞれ1kg必要。フードマイルの視点から考えると乾物は生の食材の1/10のコストで収まるとか。
効率とか手軽さを追い求めることから一歩引いてみると、今まで見えなかったものが見えてくる。乾物に注目することは、食生活を見直すだけでなく、生き方そのものを考えなおすキッカケになると思います。
続いて、乾物の匂いあてクイズ。

紙コップに乾物を入れて、アルミホイルで蓋をし、そこに穴を開けて、匂いだけで中に入っている乾物を当てます。これがなかなかの難問で。
「どこかで嗅いだことのある臭いなんだけどなんだろう」
「ここまで正解が出てるのに」など、
なかなか正解にたどり着けません。
人生のなかでここまで嗅覚を使うかってぐらい真剣です。

正解は「すき昆布」「クコの実」「じゃこ」「打豆」「切り干し大根」「干しエビ」「鰹節」「干ししいたけ」「七味」の9種類。
この匂いあてクイズは簡単にできるので、ご家庭にある乾物でぜひお試しください。
「乾物のある生活」では、毎回乾物を使ったレシピを実際に作って実食します。
第1回目のレシピは、先ほどのクイズで使った乾物で作った「乾物スープ」。

材料を全部まとめてお鍋に入れて弱火30分ほど煮込み、塩やしょうゆで味を整えて、できあがりです。それぞれいい味を持ってる乾物ばかりなので、このスープが美味しくないわけがありません。「こんなに簡単にスープが作れていいの!」と感嘆の声もちらほら。
講義後に行われた懇親会では、受講生のみなさんが持ち寄った乾物のおつまみを肴に一杯。乾物だけでステキなパーティーが開けるなんて、これもまた新しい発見でした。

 



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