講義レポート

美意識をもって異なる事象をつなげる

「キュレーション学(初級)」講義レポート

こんにちは、キュレーターの小酒です。第1期、第2期と多くの方に参加いただき大好評をだった「キュレーション学(初級)」での自由大学創立者である黒崎輝男氏の講義をレポートします。「キュレーションとは何か」をお話ししていただきました。


もともと「キュレーション」とはアート界の言葉でした。
たとえばピカソがこれほど有名になった背景には、ピカソの才能を引き出し、ピカソにスポットライトが当たる舞台を仕組んだ画商の存在がありました。いまやアート界はアーティストではなく、キュレーターが業界を引っ張る時代となりました。キュレーターが独自の視点を打ち出し、見る者に「こういう見方が美しい」とモノの見方を提案したり、「何が美しいのか」ということを問いかけることがキュレーションのそもそもの意味です。
昔は事実をたくさん知っていることがもてはやされることもありましたが、現代では情報はネット上に溢れており、ただ知っているだけでは何の意味もありません。様々な事象をキュレーションしてくことが現在は求められているのです。

自由大学では学びのキュレーションということをテーマにしています。
キーワードは「Random・Freedom・Wisdom」
これまでの学びは、時代や物事の流れに従うことが普通でした。そういうやり方もありますが、別のやり方として、問題設定の仕方によって、あるテーマをRandomに学んでいく方法もあるのではないかと考えています。
たとえば、「革命」というテーマで、フランス革命やロシア革命、キューバ革命など、一見バラバラな革命について考えてみる。それを学ぶ方法を考えることもキュレーション。「どこで、何をテーマに、どう学ぶか」ということが学びのキュレーションであると思います。こうして問いを立てていくと、今までになかった学問ができる。いわば新しい価値をつくっていくことがキュレーションの役割です。
では、キュレーションに必要なものは何かと言うと、それは「美意識」だと思います。「美」は何もアートにだけあるものではありません。数学の世界には、数式にも美が存在する。自分の独自の視点を見つけるには、思想が必要になる。思想には自分の美意識が反映される。「何をもって美しいとするのか」自分へ問いかけていくことが必要です。

講義の中では、震災後すぐに動き始めた「HEARTQUAKE」の話や、その活動を通じて得た学び、さらには死生観にまで話が及び、まさに「Random・Freedom・Wisdom」を体感する時間となりました。常に動き続ける黒崎さん。次回の第3期ではまた違うお話がたくさん聞けることでしょう。



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