講義レポート

「生きる」と「働く」が近づくナリワイ

「ナリワイをつくる」講義レポート

こんにちは、キャンパスライフ探究家の鈴木麻里子です。9期の日程も決定した「ナリワイをつくる」。講義レポート後編をお届けします。(前編はこちらからどうぞ

■ナリワイづくりの方法論
実際に、ナリワイをつくる際、ナリワイをどう選び、いくらで提供すればいいのかは悩ましいところ。その選択のヒントを教えて頂きました。まずナリワイの選び方は、「提供側もお客さんも健康になるもの、自給力があがるもの、仲良くなれるもの」「ゴミを出さず、むしろ減らすもの」。過剰なサービスではなく、お互いの成長するものという視点はナリワイに限らす大切だと思います。過剰サービスは不要なゴミがでたり、思考をストップさせてしまう、長い目でみると危険なものだと最近ますます感じます。

そして値段の決め方は、「自分とお客さんのどちらにとっても持続可能な値段」「もともと一億人を相手にしているのではないことを自覚する」。自分のできる頻度で、それだけの収入にぶらさがらない小さな仕事だからこそ出来る値段設定がポイント。万人に受け入れられなくても、本当に欲しいと思ってくれる一部の人に提供すること念頭に置くと、自分のペースを大事にナリワイをつくることが出来る気がします。

■ナリワイをスタートラインへ立たせるために
そして最後は卒業制作として「チラシ制作」を行いました。まずは相手にどんなナリワイなのか概要を伝えなければ始まりません。WEBサイトやデザインの込んだフライヤーなどを作るのもいいですが、そこに力をいれず、人の反応が見れて尚かつ人に渡せるものということで、手書きのチラシからまずはスタート。チラシには①ナリワイの名前とその概要②なぜこのナリワイをつくろうと思ったのか、その背景③今までのものと、自分が提供するナリワイはどういう点が違うのか④連絡先。この4点を入れること。全員思い思いのチラシを持って発表しました。

13人が考えるナリワイはどれも「あったらいいのに!」を実現させるものばかり。観光地ではなく自分の知り合いの営むお寺で気軽にお経を楽しむツアー、一棟借りのんびり滞在ツアーなどのツアーもの。飽きてしまったり流行に合わなくなったアクセサリーを新たなデザインで生まれ変わらせるナリワイ、自転車の健康診断をするナリワイ、放置されているプランターの土をリフレッシュさせ苗付きで提供するナリワイなどなど、新たなスキルを身につけるのではなく、今の自分の生活や趣味に密着したもの、企業では採算は合わないけれど、個人がマイペースに楽しんでできるものが多く、ナリワイを実行することは、生きることと働くことが近づくヒューマンスケールな暮らしを実現させることなんだな、と感じました。

この日は、旧暦の元旦・今年初の新月、今年初の積雪…と何かを始めるにはもってこいの日。旧暦の元旦ということで、用意してくださったお雑煮をみんなで頂きながら、お互いのナリワイへの意見交換は続いたのでした。

「生きる」と「働く」が近づくナリワイは、日常のちょっとした疑問から始まります。見慣れた風景に疑問を持つことに多くのヒントが隠されていることを学び、同じ疑問を持った仲間に出逢えた貴重な場となりました。何はともあれ、ナリワイで一番大切なことは、スモールスタートでいいから、とにかく一度やってみること。始めの一歩を後押ししてくれる伊藤さんと仲間とのナリワイ作りは、まだ始まったばかりです。

講義レポートいかがだったでしょうか。「ナリワイをつくる」は講義終了後も期を越えての交流が非常に盛んです。講義の途中でゲストがフラリやって来たり、伊藤さんのゆるくもユニークなキャラクター(引き出しと面白いお友達の数は半端ではありません)に「こんな自然体で仕事をつくるスタイルがあったのか。」と驚きの連続でした。やればやるほど「仲間」と「技」が育つ仕事「ナリワイ」、ぜひ次期の参加をお待ちしています。

■ 前編「ナリワイの種の見つけ方」



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