講義レポート

おいしくなった!と感じる瞬間を逃さずに

「おいしい写真を撮ろう」講義レポート

こんにちは、キュレーターの森田です。「おいしい写真を撮ろう」第4・5回の連続講義の模様をレポートします。この日は台風の直撃により交通不便が生じたにもかかわらず、受講生全員が集まり、充実した講義となりました。みんなの想いが伝わったかのように、台風一過のさわやかな天候に変わり、テーブルを中庭に出してのガーデンパーティーは、なんとも思い出深い講義となりました。

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まずは、それぞれが持ってきた料理をお皿に盛り付けて、撮影してみます。

今回、飯野教授が用意したのは、素材・形・色にさまざまなバリエーションがあるお皿。ひとつひとつ、合わせる皿と料理の組み合わせ次第で、おいしさの見え方が変わってくるのだそう。おかずに合わせ、皿の選択を考えることも、盛り付けのデザインの重要な要素。料理が絵だとしたら、お皿は額縁です。一体どんなところに注目したら良いのでしょうか?

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受講生の一人が焼いてきたお手製の焼き菓子、あえて黒いお皿を選んでみました。真っ白な粉砂糖が、黒いお皿にふりかかり、白黒のコントラストが映えますね。
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そこに、校舎の庭先から摘んできたグリーンを飯野教授がそっと添えてみるとこれだけでグッとおしゃれになりました。
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そして、写真撮影。大平教授が光の当て方をレクチャーすると、ケーキの写りもガラリと変わります。ケーキの存在感がより一層引き立ちました。
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またある受講生が盛り付けた白和え。「わざわざ飾りを用意しなくても、おかずの中の一部を少し工夫すれば、華やかな一皿に変えることができるんですよ。」飯野教授のアドバイスで完成したのがこちら。
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お惣菜パックに入った秋野菜グリルは、華やかな一皿に早変わり。
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「サツマイモの煮物には少し緑を入れてみましょう。主役のサツマイモがより鮮やかに見える効果があるんですよ。」と飯野教授。
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どれも言われてみれば、ほんのひと工夫、ひと手間かもしれません。でもやってみると、効果は絶大。そしてこのアイディアとバランス感覚には、マニュアル通りのルールなんてありません。野菜の色合い、切った料理の断面の美しさ、重なった具材のコントラスト、身近にあった葉や花。さまざまな今の偶然要素を感じとり、アイディアに変えて、引きたてるセンスは、体験を通さないと、なかなか気づけないものです。

写真も同じように、今日の天気と光の入り具合や、ちょっとした角度で写りが変わってきます。

わずかな助言や工夫があれば、どんな料理のイメージを自分の手で変えることが出来る。そのことを体験を通して学ぶことがこの講義の醍醐味かもしれません。そしてこの講義をきっかけに「あ、おいしそうに変わったな」と感じるセンサーを磨き続けることで、卒業生たちのおいしい盛り付けと写真の世界はどんどん広がるはずです。

「今回の講義で、みんなに喜んでもらいたいと考えて用意し盛り付けた料理を、みんなに見せて喜んでもらえたときに、自分もとっても嬉しくなりました。おもてなしってこうゆうことか、ということを実感できました。」

「写真はカメラ次第と思っていたところがありましたが、同じカメラ、同じ料理でも、撮り方や光の向きでこんなに変わるということを知りました。これからもいろいろ試してみたいです。」

受講生たちが用意して、盛り付けた「秋の和」のテーブル。どれも秋らしい和を感じられる、目にもおいしそうな一皿たちが集結しました。華やかなテーブルを囲んで、みんなの顔には笑顔と達成感で満ち溢れていました。偶然の重なりで作り上げた盛り付けは、食べ始めたらあっという間に胃袋へ消えてしまうから、このテーブルのすべてを上手に写真に残したいと、なかなか食事前の撮影会が終わらないのでした。



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