今日は僕が世界各地で出会ったシャーマンについてお話したいと思います。
一言でいうとシャーマンとは、コミュニティの中でネットワークを綺麗に保つ能力を持っている人のことを指します。
そのネットワークとは、人と人とのネットワーク、人と自然とのネットワーク、霊的世界と現世とのネットワーク。
とにかくコミュニティに関わるありとあらゆるネットワークに気をはらい、その中でのコミュニケーションが潤滑に回っていくように気配りをします。
そして、必要に応じて自然界からのメッセージ、時には霊的世界からのメッセージを受け取り、それをコミュニティの仲間に伝えるのです。
これもつまりネットワークにおけるコミュニケーションの一環なわけです。
人は自然や祖先など大きなものとの関わりの中で相対的に生きているわけですから、自然からのメッセージや時には霊的世界からのメッセージを受け取る能力を有する人が、古来から本当に頑張ってきたんですね。
超自然的なメッセージも人と人との会話と同じような感覚で敏感に感じ取り、その意味を言葉もしくは歌や踊りにしてとにかくコミュニティの仲間に伝える、そういう能力を有しているシャーマンは生涯を通してそれを磨いていくわけです。
僕は旅の中で幸運にもそういう人たちとたくさん出会ってきました。
沖縄ではノロもしくはユタと呼ばれる人たちがそれにあたります。
神の島である久高島では琉球王朝が伝統的に久高ノロという最高位のシャーマンをこの島においていました。
というより、聖地を守りメッセージを受け取る能力に富んだ久高ノロを琉球王府が最も尊んだ、と言ったほうが正しいかもしれません。
琉球王朝の王自らが定期的に久高島に参詣し、久高ノロから放たれるメッセージ(神託)を受けにきていたと言われています。
また、カリブ海のキューバではサンテリアというアフリカ系ヨルバ族の宗教音楽が残っていて、神々からのメッセージを受け取り人々に伝えるババラオと呼ばれるメッセンジャーが各地にいます。
彼らは言葉と、唄と踊りにより、神の世界からのメッセージをコミュニティの仲間に伝達するのです。
僕はキューバの東にあるサンティアゴ・デ・クーバでガブリエルというババラオに、「俺たちはアフリカから来た!お前もアフリカに行け!」と言われ、アフリカ行きを決意しました。
そして、僕が唄を習った西アフリカのグリオは、コミュニティの仲間の健康状態や祖先との繋がりなどを熟知し、時には言葉で時には音楽でメッセージを伝えます。
冠婚葬祭などあらゆる儀式をとりおこなうのも彼らです。
僕は西アフリカ・マリのグリオの村ケラに数ヶ月滞在して、彼らとすっかり仲良くなりまして、ママディ・ジャバテという名前を頂きました。
おそらく世界には僕の知らないシャーマンのコミュニティがまだまだたくさんあると思います。
旅はきっと一生続くでしょうね。
text : SUGEE教授
担当講義: 共生のシャーマニズム学