
南アフリカにはバオバブやアロエ、 パキボディウムなど多肉質で独自の進化を遂げた魅惑的な植物が数 多く存在し、 その中には薬効を持ち人間にとって有用性の高い植物も多くありま す。
特に和名「医者いらず」 として知られるアロエアルボレスケンスは薬局だけでなく町の雑貨 店や食料品店などでも軟膏が売られており、 炎症に効く万能薬として古くから重宝されてきました。
さらに南アフリカには街中にウィッチドクターと呼ばれる民間療法 の施術者があちこちにいて、 薬草や木の葉を調合して症状に応じて処方してくれます。
いわゆるメディスンマンですね。
その民間療法において使われるアロエに近いユリ科のハオルシアと いう多肉植物があります。
濃い緑色の葉がプチプチしていて中は粘り気のある繊維質、 まるで野菜のモロヘイヤのような質感で見るからに身体に良さそう な、そんな植物です。
僕は以前からそのハオルシア シンビフォルミスに何かインスピレーションを感じていて、 帰国後に思い切って星薬科大学の生薬研究室に育てている個体を持 ち込んでみたんですね。
最初はかなり怪しまれたのですが南アフリカの植物事情と現地での ハオルシアの使われ方を説明すると、 成分を調べてみても良いというありがたいお返事を頂きました。
一月後に結果が出たというので訪ねてみるとM教授は少し興奮した ご様子で、ハオルシア シンビフォルミスには未知の化合物が3種ほど含まれていてその物 質には抗酸化作用および抗炎症作用があり酸化した細胞を減退させ る効用を有している、というお話をしてくださいました。
二人でそのフェノール化合物をハオルフォルビンA、B、 Cと名付けさせて頂いて、 そしてなんと専門学術誌においてハオルフォルビンに関する論文を 僕の名前と連名で発表してくださいました。
世界には僕らの未知の植物がまだまだ数多く存在し無限の可能性を 秘めている。
このエピソードはその象徴的なものだったと感じています。
いわゆる民間療法やシャーマニズムで使われている植物の中には、 迷信では片付けられない西洋医学的にも今後その効用が明らかにさ れていく可能性を税めた種がたくさんあるでしょうね。
昨年は一念発起して樹木医の認定試験を受けさせて頂きまして、 おかげさまで合格することができました。
自分としては身の回りの身近な植物の力も借りて「 場を清める空間デザイン」をテーマに、 新しい植物の可能性と意義を今後も探求していきたいと思っていま す。
