講義レポート

人生の中の「一服」

キュレーターコラム 岩井謙介

自由大学のあるCOMMUNE 2ndの国道246沿いに面したところにTOBACCO STANDが佇む。Cigar Barとしてタバコや葉巻を気軽に楽しめるスペースで、ここで飲めるコーヒーはストックホルムで焙煎しているSTOCKHOLM ROASTのコーヒー豆を使っている。タバコにお酒、コーヒーといったような嗜好品であり、特別それが無くても死にやしないモノ(嗜好品なだけあって中毒的に好んでいる人は、無いと苦しいかもしれないが。)をここでは嗜めるが、これらのモノの中には「時間」が詰まっている。

 

特に、タバコや葉巻なんかはそうだが、よく「ちょっと一服。」という表現を使うだろう。この「一服」は時間にすると一体どのくらいの時間を指しているのだろうか。人によっては5分。そこで出会った人たちと盛り上がってしまえば5分のつもりが30分。そして1時間と膨大な時間が過ぎ去ってしまうこともあるだろう。けれど、どれもその人にとっては「一服」。毎日ここで店番をしている子に聞いてみると、初めは顔も知らなかった人同士がタバコやコーヒーをきっかけにTOBACCO STANDで、顔見知りの人となって挨拶をするようになるそうだ。この「一服」という時間は、自分の好きな嗜好品に囲まれ、タバコを吹かし、コーヒーを啜るという自分が主体となってリズムを創れる日常の中の憩いとなっている。

人生という大きな時間で物事を捉えた時に、この「一服」は何に当たるのだろうか。その一つが「旅」にあるのではないかと思う。自分で行きたいところ、会いたい人、食べたいものを決め、限られた時間の中で自分のリズムを創っていく。誰の時間でもない。唯一無二の自分の時間だ。

この自分の人生の「一服」を最高の「一服」にして、日常をより豊かに軽やかに生きていきたいものだ。

※一度読んだら、是非「一服」と「旅」を入れ替えてもう一度読んでみて欲しい。



関連する講義


関連するレポート