講義レポート

個人の時代を生き抜く術としてのアーバンジェントルマンシップ

Urban Gentlemanの作法 キュレーターコラム

年末年始は欧州の美食の街や芸術の街から、スローライフな街を転々としながら少し未来について考えてみた。 どのような思考を辿っても、これからの時代はますます個人に与えられる裁量や自由は大きくなっていく。それは大きな組織か?ベンチャーか?といったどこに所属するかという範疇を超えている。考え方次第では、何処でも暮らしや仕事ができる状態に社会のモードが変わっているのだろうと強く感じる。

例えばオランダを代表するPhillips(家電メーカー)は、3年前から各部署のチームを限りなく小さくし、ほぼオフィスに来る必要のない仕組みを築き上げていた。5~6人の少数精鋭のチームの中には3人以上の子供を育てる母親から、中東やインドから渡ってきたエンジニア、欧州でデザインエンジニアリングを極めつつあるリーダーも、一週間のうち半分以上は自宅や移動しながらの仕事を進めている。
一方、個人単位ではますます世界各国のゲストハウスを、住居兼オフィスにする動きがある。大都市圏ではcohousingやcolivingなどの共同型生活を推進するサービスが世界のトレンドとなっている。こういった大きな生活インフラがますます個人の自由を謳歌させているとも言える。

個人化が強調されればされるほど、人間関係の質はどうなっていくのだろうか?
ロボティックスやAIがもっと暮らしの視野に入ってくると、個人が他者に依存することはますます薄くなろうのだろうか? それとも、ある種の役割分担(機能分担)が生じることで、個人はやはり今と同等の熱量を他者にそそぐのだろうか?

核心的な答えは未だに分かり得ない。しかし、それ故に時代の変化があれども変わらない価値を探すことが得策だと私は考える。一つ目の価値は圧倒的な希少性だろうと思う。例えば、人と違った経験や積み重ねが自分にしかできない何か(スキルや着眼点など)を生み出し、社会に還元することが出来るだろう。そしてAIによって単純化(コモディティ)される作業や人がやりたがらない業務の主導権は失っていく。もはや不可逆にはなり得ない未来だろう。

世界有数のエリート集団のスタンフォードビジネススクールで膝を付け合わせながら、人間としての奥行きやマナーを体得してきた嶋氏には、AIに支配されない個人の振る舞い方について語っていただきます。
空間や間を愉しむ行為は、人間社会が作り上げてきた最高峰の文化芸術。武井氏には茶の世界から見出されるロボティクスやAIと個人(人間)の間に見出される美しい関係から人と人との間にそびえる佇まいのあり方について焦点をあてます。

長年、固有性やオートクチュールといった唯一の世界で活躍されてきた竹内氏が、売れ続けるため(魅せる)のファッション的表現のあり方について解を深めていきます。

究極は異性(同性)に対する振る舞い方は、2000年の時を経てもアップデートされないのは人の心理を読み合うことに対する慈しみであろう。個人の時代に最もふさわしい異性への表現方法について、銀座のクラブを経営され、人間関係の極みを見届けてきた浅川氏とともに解を深めようと思います。



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