私は2015年頃から自身の仕事として、「地域」に関わる活動をしています。これまで、単年毎にあるひとつの地域に関わり、そこで働く人たちとともに、未来を描き、課題解決に導くというようなことを行ってきました。
大阪出身の私にとっては、毎年、ひとつずつ、第二の故郷が増えていくような感覚です。
こういった活動を続ける中で、これまで取り組みを行った地域に対して、単年で終わりではなく、より継続的に関わることでその地域をもっとよくしていきたいという想いを持つようになり、これまで、いわゆる「町づくり」の手法について学んでいました。
私にとって、「地域が良くなる」ということは、「経済的に良くなる」ことだけではなく、「自分自身が美しいと思える様」であることが重要であると考えていました。
経済だけでは楽しくありませんし、関わっている自分自身にも熱が入りません。
個人的に共感できる部分があるからこそ、困難に直面した時に力を出せるものです。
しかし、これまで自身が学んできたものが、ビジネスモデルや町づくりの手法についてのものが多く、領域としては「経済的に良くなる」に偏っており、大事なことだとは思いつつ、どこか物足りなさを感じていました。
そんな中で、今回の「ハイローカルを創ろう!」の講座に出会いました。
私にとって魅力的だった点は、まず、「ハイローカル」という新しい言葉自体が新鮮だったこと。そして、地域と関わる上で、個人の「感性」や「美意識」に重きを置いており、自身が抱える物足りなさを解消してくれるのではないかと感じたことです。
ただ、受講前に参加した説明会では「移住して自然の中で暮らしたい」や「海の見える町でカフェを作りたい」など、自分の手で新しい暮らしを作りたい人(地域のプレイヤー)に向けた講座であると感じ、本当に自分が参加すべきかどうか、少し迷う部分はありました。私自身はプレイヤーとして身を投じるのではなく、外から支援を行うことに興味があったためです。
そんな想いを抱えていましたが、最終的には「ハイローカル」という言葉の魅力が勝り、「ハイローカルな状況を作るプレイヤーの頭の中や、それを支える仕組みを学ぼう」と、自分なりの視点を定めて受講することを決めました。
実際に講座に入ると、当然のことながら、新しい言葉である「ハイローカル」についての確固たる定義はまだなく、キュレーター、ゲスト、受講者が講座を通じて共に考えていくというスタイルでした。そのため、知識や手法を教えてもらうというより、学んだことを自分の課題意識とリンクさせて、自分なりの問いや解を導き出すという姿勢が非常に重要でした。
毎回の講座は、ゲストが自身の取り組みを紹介し、その後、受講者と共にテーマについてディスカッションを行う形式で進んでいきます。テーマは、暮らし、経済、コミュニティ、DIY、最先端科学技術など多岐にわたり、短期間で圧倒的な量の情報を浴びせられます。講座の時間だけでは情報を消化できなかったので、私の場合は、最初に決めた自分なりの視点で毎回の講座の内容を整理していました。
特に刺激を受けたのが、中盤に開催された、秋田県湯沢市でのフィールドワーク(1泊2日)に参加したことでした。
フィールドワークの詳細については省きますが、講座のゲストでもあったヤマモ味噌醤油の高橋さんを中心に、ビジョンを描き、これから湯沢を変えていこうとする実際の現場に触れたことで、数多くの気づきを得ることができました。
講座を終えた今、ここで得た新たな気づきが自身の仕事の中のアイデアに繋がっています。当初は、地域のプレイヤー志向ではない自分に、役立つ部分があるのとか不安に感じていましたが、あらかじめ視点を決めていたことで、自分なりの答えを導き出すことができました。
もちろんそれは「ハイローカルとは何か?」についての絶対的な答えではなく、私の中での答えではあります。
しかし、今回の講座で学んだ数々の「ハイローカル」な事例も、ほぼ共通して、極めて個人的な想い、そして個人的な美意識により始まっています。
この小さな自分なりの答えを積み上げていき、変化を生み出していくことこそが、「ハイローカルを創ろう!」の醍醐味なのかもしれません。
「地域」というものに対して、自分なりの課題意識や目標が見えている方には、新たな視点を得られる講座ですので、受講を検討されてみてはいかがでしょうか。
(text:ハイローカルを創ろう1期 井上公平)