講義レポート

自分の言葉ってナンダッケ!?

「過去に向き合うための哲学」講義レポート

昔から学ぶことが好きだった。高校受験・大学受験時は受験勉強のハウツー本を読み漁り、仕事では営業術をひらすら身につけた。与えられた目標を効率よくこなすことには自信がある。しかし、いつからか自分の中に小手先のスキルが増えているようで成長が感じられなくなった。そこで、物事の本質を探求してみたいと思い、本講座を受講した。

第1回目は、「自由」について対話した。前もって予習しておいた「カントの自由論」を話そうと考えを巡らせていたら、担当キュレーターから「⾃分の⾔葉で理由を探して話す」と言われた。なるほど、自分の言葉、自分の…そもそも「自分の言葉ってナンダッケ!?」とパニックになった。焦って自分の言葉とは何かを考えれば考えるほど、何も思いつかなくなった。

この時気付いたのは、誰かの発言や本の内容を自分の言葉として我が物顔に言っていたことだ。また、すぐに答えが出ない問いを持ち続けるモヤモヤが苦手で、手っ取り早い答えを用意するか、そもそも考えないようにしていた。

この日から、「自分の言葉とは何か?」という問いが脳裏に焼き付いて離れなくなった。ちょうど本講座が始まる頃に仕事を辞めていたため、時間はあった。そこで、毎日自分が考えたことや思ったことをノートに書き連ねた。途中で嫌気がさしながらも、繰り返し書いていると、しっくりくる言葉と出会うようになった。そのしっくりくる言葉が自分の言葉なのだなと思った。

実際に講座でも、自分の発言に対して、「なぜ?」と質問をもらったら、「こういう理由だから」と答えられるようになった。さらに途中から「自分の言葉を他者により分りやすく伝えるにはどうしたらいいか」と考えるようになった。日常生活でも、自分の言葉と相手の立場の両方を考慮して話すことが増えたように思う。

全五回の講座で新しい知識は、正直さほど得られなかった。しかし、自分の言葉と向き合い、書き連ね、皆と対話をした経験に大きな価値があると自信を持って言える。



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