半年前に社会人大学院を卒業し、次の学ぶ機会を探してたところで自由大学と出会いました。学びと人生の歩み方は切っ ても切れない関係。次の一歩を踏み出すヒントを探している中で、アンテナに引っかかった講義が「新旅学のすすめ」でした。
「旅を学問にするってどういうこと?」
行ったことにないところに行くことが好きで、今までたくさん旅行だとか旅と呼ばれることをしてきました。なんとなく、日常と非日 常の境界や、国や文化の境界を越えていくことが、私の旅のイメージでしたが、改めて「旅ってナニ?」と聞かれると明確に答え ることができませんでした。インターネットで物理的距離と関係なく人と人がつながったり、どこに行くにも昔ほど手間もコストもかか らなくなりました。また、無尽蔵といってもいいくらい世界中の二次情報を収集できるようになりました。異なる価値観のつながりからビジネスが生まれたり、逆に少し前に価値があったものがその価値を失うといったことが、目の前で起こっています。
世の中も 個人の生き方もボーダーレスになっていく中で、改めて「あなたにとって旅とは何ですか?」、「なぜ旅をする必要があるのだろうか?」というのは、考える価値のある問いだと思います。
「旅の計画は自分の好奇心との対話」
講義の中では、「旅」の定義や現地に密着した情報収集の方法、安全確保の方法を踏まえたうえで、自分なりの旅の計画をつくっていきます。第二回の講義では、対話やブレーンストーミングをしながら、旅のテーマを考えていきました。自分の中の好奇心やバックグラウンドにしっかり向きあわないと、流行のワードや大衆的な視点にテーマが流されていってしまいます。結局、私は講義中では刺さるテーマを設定できず、次の講義に向けて頭を悩ませることになりました。
旅のテーマは、旅を通して自分(や他の参加者)が向き合いたい問いでもあります。問いの大きさや制約を適切に設定することで、異なる参加者の視点によって複数の気づきが連鎖したり、現地で思いもしなかった偶発と出会うことができるではないかと感じました。
「バイアス・偏愛…そして共存」
旅は、ライフスタイル、価値観、視座、文化、多様性など様々な論点を内包しています。今回の講義の中で、バイアスと大切にする価値観の関係性、そして異なる価値観とどう向き合い、共存していくのかという議論が強く印象に残っています。旅によって、自分が認識していなかった世界に触れ、視野が広がることによってバイアスは取り除かれていきます。
一方で、好奇心や探究心を出発点にする旅は、自分の価値観や好きだと言えることのバックグラウンドを強化し、偏愛傾向が強まっていくでしょう。 社会の接続性が求められる中で、個性(ある意味偏愛)を持った人が、その人の個性を捻じ曲げることなく、他の個性を持った人とつながり、共存していくためにどういったマインドやシステムが必要なのか。簡単に答えが出ない議論ではありましたが、 ハッとさせられる論点でした。
「さぁ、旅に出よう」
バックパッカーとして放浪することだけが旅ではない。講義最終日を迎えると、そう気づくはずです。私は、この講義を通して一 歩踏み出す方向が見えてきたような気がしました。気がしただけだったのか、それとも本当に見えたのか確かめるための手段は 一つだけ。自分の好奇心を信じて旅に出ることです。
今回の講義で考えた旅の計画に、もう少し余白の設定と情報収集を加え、旅に出ようと思います。
text : 第1期卒業生 池田純一(2017/10/3)